ビットコイン(BTC)は9万2000ドルを突破できないまま日曜日に急落し、月曜日には8万4000ドルまで下落した。この下落で強気のレバレッジポジション3億8800万ドル相当が一掃され、アナリストは明確な要因を探る状況になっている。売りを引き起こした背景には複数の要因が重なり、市場は一段と慎重姿勢へと傾いている。
ビットコインの下落を、日本国債市場の混乱と結びつけるアナリストもいた。20年債利回りが25年ぶりの高水準に上昇し、これは投資家がインフレ懸念や政府債務の増大を背景に、現行価格で国債を買う意欲が低下していることを示す。
とはいえ、両市場の動きが同日に起きたからといって直接的な因果関係を示すのは難しい。実際、双方の30日相関係数は今年を通じて正と負の間を行き来しており、一貫した関係を示していない。
日本市場のストレスは、世界的な経済見通しの悪化を反映している可能性もある。エンロン崩壊を予測したことで知られるトレーダーのジム・チェイノス氏は、ヤフーファイナンスのインタビューで、クラウドAI企業が発行するGPU担保債務にまつわるリスクの高まりを指摘した。
チェイノス氏によれば、「多くのAI企業は現時点で赤字企業」であり、この状況が変わらなければ「債務不履行が起きる」と警鐘を鳴らす。GPUを担保にした資金調達はコアウィーブ(CRWV US)が先駆けたとされ、この分野ではエヌビディア(NVDA US)によるクラウド投資とも連動しているという。
規制環境の不透明感が仮想通貨市場の警戒感を強める
不安材料は規制面にも及んだ。直接ビットコインに関係するものでなくても、政府が仮想通貨に対して厳しい姿勢を強めるという観測が出ると、投資家はリスクをとりにくくなる。そのため、市場心理が悪化することは珍しくない。
ロイターは土曜日、中国人民銀行が違法行為の取り締まり強化を改めて表明したと報じた。人民銀行はステーブルコインについて「マネーロンダリングや詐欺、無許可の越境送金などの違法行為に利用されている」と指摘した。
ビットコインが過去30日間で23%下落したことは、戦略的に仮想通貨を準備資産として活用する企業の行動にも影響を与えている。従来、こうした企業は株式を市場で発行し、その資金でビットコインを購入する強いインセンティブがあったが、株価が純資産価値(NAV)を下回ると、この戦略は成立しなくなる。
ストラテジー(MSTR)のフォン・リーCEOは、mNAVの低迷が続き他の資金調達手段が尽きた場合にのみビットコイン売却を検討すると述べた。週末には同社の動向を巡り懸念が広がったが、月曜日には配当と債務返済のために14億4000万ドルの資金調達に成功したと発表した。
同時にS&Pグローバル・レーティングは、水曜日にテザー(USDT)の準備資産の格付けを可能な限り低いレベルに引き下げた。USDTは直後、中国の公式USD/CNYレート比で0.4%のディスカウントで取引され、一定の売り圧力が確認された。
アナリストは「情報開示における根深いギャップ」や「カストディアンやカウンターパーティーの信用情報の乏しさ」を理由に挙げた。テザーが伝統的な銀行と異なるモデルで運営されている点を踏まえると、この批判が全面的に妥当かは議論の余地があるが、市場のリスク選好が冷え込むことだけは確かだ。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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