テザーの最高経営責任者（CEO）パオロ・アルドイノ氏と市場アナリストらは、S&Pグローバルが示したUSDt（USDT）のドル連動維持能力の格付け引き下げに反論し、格付け会社がテザーの資産と収益を適切に考慮していないと主張した。
アルドイノ氏はテザーの第3四半期のアテステーション（監査報告）を引用し、テザーグループの2025年第3四半期末時点の総資産は約2,150億ドル、ステーブルコイン負債は約1,845億ドルだったと述べた。続けて次のように説明した。
「テザーは2025年第3四半期末時点で、1,845億ドルのステーブルコイン準備に加えて約70億ドルの余剰自己資本を有し、さらにテザーグループのエクイティとして約230億ドルの内部留保を保有している。S&Pは、追加のグループエクイティも、米国債利回りだけで毎月約5億ドル生み出している基礎利益も考慮していない同じ誤りを犯している」
S&Pグローバルは水曜日、USDtのペッグ維持力評価を「弱い」へ引き下げた。これは同社の評価尺度の中でも最も低い段階であり、仮想通貨市場インフラの重要な一部となったテザーに対し、一部アナリストの間で不安や疑念が広がる要因となった。
アナリスト間でテザーの財務基盤を巡る議論
ビットメックス創業者で市場アナリストのアーサー・ヘイズ氏は、テザーが米国債利回りの低下による収益不足を補うため、大量の金とビットコイン（BTC）を購入している可能性があると推測した。
ヘイズ氏は、米連邦準備制度理事会（FRB）が利下げを進める中で金とBTCの価値は上昇する見通しだとしつつ、これら資産が急落した場合はテザーにリスクが及ぶと警告した。
「金とBTCの保有価値が約30％下落すれば、テザーのエクイティは失われ、USDtは理論上、支払不能となる」と述べた。
一方、金融大手シティグループでデジタル資産部門の主任アナリストを務めたジョセフ・アユーブ氏は、テザーを数百時間かけて調査した経験から、ヘイズ氏の分析を退けた。
アユーブ氏は、テザーは報告以上の余剰資産を有し、150名程度の従業員で数十億ドル規模の金利収入を生み出す極めて収益性の高い事業であり、伝統的な銀行よりも担保状況が強固だと述べた。
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