大手仮想通貨取引所バイナンスが、ビットコイン(BTC)先物の取引高(24時間)においてビットメックスを追い越し、2番目に大きなプラットフォームへと躍り出たことが3月24日に明らかになった。同社は、どのように成功させたのか。先物担当副社長を務めるアーロン・ゴン氏が、その事情をコインテレグラフに明かした。

バイナンスの先物取引が成功した、3つの理由

今回の成功に驚いているかゴン氏に尋ねると、同社はBTC先物取引プラットフォームのトップとなる計画のもと事業を開始したと語った。

「我々はすぐそうなることを知っていたし、6ヵ月あまりの時間で成し遂げた」

ゴン氏によると、同社の先物取引が成功した理由には、安価なテイカー(Taker)取引手数料、新たな試み、豊富なアルトコインのペアという3点があるという。ゴン氏は、安価なメイカー(Maker)取引手数料を設定している取引所が多すぎると指摘した。

「安価なメイカー手数料を提供する取引所が、あまりにも多い。そのためほとんどの注文は、ボラティリティが低い時期に極めて少ないテイカーの下、コンピューター化されたマーケットメーカーが売値(Bid)と買値(Ask)を競い合っているにすぎない」

またゴン氏は、バイナンスの先物取引に関してはイノベーションが取引高を押し上げているとも語った。同氏によると、同社は仮想通貨先物市場初の試みをいくつか行っているという。

「我々は、BTC先物においてレバレッジ倍率最大125倍を開始した初の主要取引所で、相互担保(cross collateral)とスマートな流動化メカニズムを導入した初の取引所でもある。これら機能は顧客に絶大な人気を得ている」

3つ目の理由としては、ゴン氏はアルトコインのペア数の多さを挙げた。同社は24の先物契約を立ち上げたとして、次のように説明した。

「現時点で、『バイナンス先物(Binance Futures)』は最も流動性の高い上位10のアルトコイン契約の半数を用意しており、その多くはすべての先物取引所で最も取引されているペアでもある」

バイナンスが将来成功するカギは?

ゴン氏による先物取引の取引高を増加させる戦略は、より多くの機能とサービスを提供し続ける点にある。同氏は、競合取引所が過負荷・不十分なリスク管理・直感に反するサービス設計などの問題を抱えているため、バイナンスが出し抜けたと明かした。ライバルが抱える顧客の不満をバイナンスのサービス設計に活かしているという。

「我々は特にこれら問題に対処し、ユーザーエクスペリエンスの改善を目指した。そのため、毎秒10万件超の注文を処理できる、業界トップのマッチングエンジンの構築に尽力している。(中略)他社はシステムの過負荷・停止・システム障害、さらにロールバックといった問題があったが、(バイナンスは)安全で信頼性が高く、安価かつ流動性の高いヘッジの場であることが何度も証明されている」

この点では、バイナンスが2月に多くの問題に遭遇したことは注目に値する。同取引所は2月19日、想定外の技術的問題を解決するため取引を停止した。

既報の通り、この緊急事態は、バイナンスが大幅に増加した顧客を管理できなかったことが原因で、同プラットフォームが顧客による入力に応答できない問題が頻発した時期の1週間後に発生した。

またバイナンスは3月初頭、誤動作の修正のため再び取引を停止したと報じられた。バイナンスが採用している「Apache Kafka(アパッチ カフカ)」が、リアルタイム取引システムには適していない点が原因とされている。Kafkaは、システム間においてデータの受け渡しの仲介、データ一時保管を行うというハブのようなシステムだ。

ツイッター上で、競合にあたるOKExのジェイ・ハオCEOがこの点を指摘し、問題への対応支援を申し出たものの、バイナンス共同創設者兼CEOのジャオ・チャンポン氏(通称CZ)は同CEOをブロックしたという。

しかしゴン氏は、これら機能不全はバインナンスの先物取引プラットフォームに影響せず、先物取引のトレーダーにも影響はないと答えた。

「バイナンスの先物システムは、立ち上げ以来、最も変動の激しい時期にもかかわらず順調に稼働していることが証明されている。先物市場は別のマッチングエンジンで稼働している」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン