オーストラリア、シンガポール、マレーシア、南アフリカの中央銀行が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を使った国際決済をテストする共同イニシアチブを発表した。

Project Dunbar(プロジェクト・ダンバー)」と名付けられたこのイニシアチブでは、パイロット版の共有プラットフォームを整備し、複数の中央銀行が発行したデジタル通貨による直接送金を実現する。パイロット版で得られた知見は、越境決済を改善するためのG20の行程表に役立てられるほか、「世界および地域のプラットフォームの開発」のための情報として活用される。

プロジェクト・ダンバーは、国際決済銀行(BIS)イノベーションハブのシンガポールセンターと共同で実施される。複数のパートナーがプロジェクトに参加して様々な分散型台帳技術(DLT)のプラットフォームを開発し、中央銀行がCBDCインフラを共有できるような様々な構造を模索する。

共同宣言では、DLTベースの決済による効率向上が強調されており、次のように述べられている。

「これら複数のCBDCプラットフォームがあれば、メンバーの中央銀行が発行するデジタル通貨で金融機関が互いに取引することができるようになる。仲介者の必要性がなくなり、取引の時間とコストが削減される」

オーストラリア準備銀行(RBA)のマイケル・ブロック総裁補は、「越境決済の強化は国際的な規制の優先事項となっている」と強調し、RBAが国内政策の取り組みの中でそうした問題に「大きな力を注いでいる」と述べた。

「CBDCプロジェクトでの長年の経験と独自の視点を持った中央銀行や、デジタル通貨技術の実用化を進めているエコシステムパートナーがプロジェクト・ダンバーに集結した」。BISイノベーションハブ・シンガポールセンターのアンドレ・マコーマック所長はそう語る。

「有能で情熱あるパートナーが集まっており、私たちが国際決済のための複数のCBDCに取り組むことで、CBDCの実験の次なる段階に新たな地平が切り開かれ、決済の世界的な体制の基盤が築かれることだろう」