ワールドコイン財団は、オーストリアでワールドIDを発行するための装置「オーブ」を導入したと発表した。これにより、デジタルID検証技術を利用できるヨーロッパの拠点が新たに1つ追加された。
7月31日現在、ウィーン市内の複数の場所で18歳以上の住民がワールドIDを登録できるようになり、世界中で630万人を超えるユーザーのネットワークに参加できるようになった。
ヨーロッパのワールドコイン
ツールズ・フォー・ヒューマニティが運営するワールドコインは、欧州一般データ保護規則(GDPR)に準拠している。また、オーストリアのデータ保護当局と協議を行い、プライバシーおよびデータセキュリティの懸念に対処したという。同社は、ワールドIDの登録が虹彩スキャン以外の個人データを収集しないことを強調している。
ツールズ・フォー・ヒューマニティのドイツ、オーストリア、スイスのジェネラルマネージャーであるフリーデリケ・ルンブローゾ-バウムガートナー氏は、プロジェクトの迅速な拡大を目指していると語った。「私たちの目標は、できるだけ多くの人々が迅速にワールドIDを取得できるようにすることだ」とのべた。
ワールドコインを巡っては、ドイツのバイエルン州データ保護監督局(BayLDA)が生体データ収集に関する調査を行った。報道によれば、BayLDAは2022年11月からワールドコインの活動を調査していた。ワールドコインはドイツ以外にもスペインなどほかの政府機関からも問題点を指摘されており、現在はスペインでの運営を一時停止している。
賛否両論
スペインに加えて、香港でもワールドコインは規制上の問題に直面している。香港の個人データプライバシー委員会(PCPD)は、ワールドコインの運営が個人データプライバシー条例(PDPO)に違反していると結論づけた。
こういった規制問題を受け、ワールドコインは現地のプライバシー法に準拠するために積極的に取り組んでいる。5月には、生体データシステムをオープンソース化し、ユーザーが古い虹彩コードを安全に削除できるようにした。
しかし、ワールドコインはその後、ネイティブトークンWLDに関連する価格操作や詐欺の新たな疑惑に直面している。同社はインサイダー取引や価格操作の疑いを否定している。