資産運用会社ヴァンエックが、申請中のBNB上場投資信託(ETF)において資産のステーキングを行う方針を撤回した。同社は今月、米国で3本目となるソラナ(SOL)ETFを上場させ、同商品ではステーキングを提供しているにもかかわらず、BNBでは対照的な判断となった。

米証券取引委員会(SEC)に金曜提出されたS-1申請の更新版で、ヴァンエックは「信託は上場時点においてBNBをステーキング活動に使用せず、ステーキングによる報酬や収益も一切受け取らない」と明記した。さらに「信託が将来ステーキング活動を行う保証はない」としている。

同社は、ステーキングを避けることでETFのパフォーマンスがBNB(BNB)を現物保有する場合に比べて劣後する可能性を認めており、投資家はステーキング報酬を得られないことになる。

ヴァンエックは今年5月、BNB ETFを申請した。当時の申請書類では「資産の一部を、信頼できるステーキングプロバイダーを通じてステークする可能性がある」としていた。今月初めにはソラナETFを上場し、ステーキング利回りを提供していたことから、今回の撤回は注目を集めている。

規制リスクを示唆する表現も

ヴァンエックは、更新版の申請書類でステーキングを行うとしても第三者の「ステーキングサービスプロバイダー」を通じて実施すること、そして実施する場合はSECに目論見書を提出する必要があることを明確にした。

とはいえ、ヴァンエックはBNBステーキングを避ける明確な理由を記していない。しかし、申請書類の別の箇所では、規制面の懸念を示唆する内容が含まれている。SECがBNBを証券と判断した場合、ETF株式の価値や信託の存続が悪影響を受ける可能性があると明記している。

ヴァンエックは「特定のデジタル資産が証券かどうかを判断するテストは複雑で、適用も難しく、結果の予測も困難」と記し、さらに「BNBは現時点の事実関係に照らして証券である可能性があり、将来SECや連邦裁判所により証券と判断される可能性もある」と述べている。

その場合、ヴァンエックはETFを解散する可能性がある。ヴァンエックが自主的にBNBが証券であると判断した場合、またはSECや連邦裁判所が証券と結論づけた場合には解散を検討することになる。

BNBとSECをめぐる過去の経緯

ヴァンエックが指摘するように、2023年、SECは仮想通貨取引所バイナンス、その米国子会社、さらにコインベースとクラーケンに対し、未登録証券の取引を促したとして訴訟を起こした。

SECは当時、BNBを含む60種類以上のデジタル資産を証券と見なしていた。しかし昨年7月初旬、米連邦裁判所はBNBの二次市場での取引について、証券取引には該当しないとの判断を示した。

ステーキングおよびプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用する仮想通貨が証券法の適用対象となるかについては激しい議論が続いている。5月末、SECの企業財務部門は声明で、プルーフ・オブ・ステーク型ブロックチェーンにおける「プロトコルステーキング活動」は「証券取引法に基づく登録を必要としない」または「登録免除に該当する可能性がある」と述べていた

ただ当時、キャロライン・クレンショー委員だけがこの指針に反対し、同指針は「ステーキングサービスが投資契約かどうかを判断するための信頼できる道筋を提供していない」と批判していた。

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