トランプ大統領が支援するワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「USD1」が、2025年3月のローンチからわずか2か月で時価総額22億ドルに達し、世界第7位のステーブルコインとなった。
WLFIによるUSD1のエアドロップ提案に関する投票が進行中であり、その間もUSD1の時価総額は上昇を続けている。
当初の供給量は350万ドルだったUSD1だが、執筆時点での時価総額は22億ドルへと急拡大しており、ファーストデジタルUSD(FDUSD)やペイパルUSD(PYUSD)、テザーゴールド(XAUT)といった競合ステーブルコインを上回っている。
ただし、テザー(USDT)の1490億ドル、USDコイン(USDC)の610億ドルといった大手ステーブルコインとの差は依然として大きい。
BNBチェーンがUSD1発行の主軸に
USD1の流通は、バイナンスが支援するBNBチェーンにほぼ集中しており、BscScanのデータによれば、全供給量の99%以上に相当する21億ドル分がBNBチェーン上で発行されている。一方、Etherscanによると、イーサリアム版は1450万ドルにとどまっている。
USD1の時価総額が、4月後半のわずか2日で1億2800万ドルから21億ドルへと1540%急騰した。
この急激な増加は、エリック・トランプ氏がアブダビの投資会社MGXによるUSD1を使ったバイナンスへの20億ドル規模の投資計画を発表した直前に起きたものだ。
HTXなどが相次ぎUSD1を上場
USD1の時価総額急増を受け、一部の中央集権型取引所(CEX)が相次いでUSD1を上場。トロン創設者ジャスティン・サン氏が支援するHTX(旧フォビ)は、5月6日にBEP-20ネットワークでのUSD1出金を恒久的に手数料無料で提供することを発表した。
コインゲッコーやコインマーケットキャップによると、USD1はこれまで主にパンケーキスワップやユニスワップといった分散型取引所(DEX)で取引されてきたが、HTXはCEXとしては初めて上場させた事例となる。
WLFI投資家の大半は米国外から流入か
WLFIコミュニティがUSD1のエアドロップ投票を進めるなか、WLFIへの投資の大半が米国外から行われている可能性があるとの指摘も出ている。
V1PSの創設者Notaz.Sol氏が行ったSNS投票によれば、WLFI投資家の約90%が欧州やアジア、ラテンアメリカなど米国外に所在しているとされる。
5月7日のブルームバーグの報道でも、トランプ関連のミームコイン上位保有者の過半数が海外居住者であると指摘されている。
WLFIはバイナンスと密接な関係があると見なされているが、トランプ陣営およびバイナンス双方は、両者の間に直接的な提携が存在するという報道をたびたび否定している。