バイナンスのリチャード・テンCEOは、バイナンスUSがトランプ大統領と関連する企業と交渉を行っているという報道を否定した。3月18日にニューヨークで開催された2025年デジタルアセットサミットのパネルディスカッションで発言した。

この声明は、バイナンスの創業者であるチャンポン・ジャオ氏(通称CZ)とトランプ氏の立場を改めて確認するものとなった。両者は先週、この報道を否定していた。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は3月13日、バイナンスUSがトランプ氏と関係のある企業と株式の売却交渉を行っていたと報じた。その中には、トランプ家が関与する分散型金融(DeFi)プロジェクトである「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」との取引の可能性も含まれていたという。

この報道について、テン氏はサミットで「ワールド・リバティ・ファイナンシャルとCZの両方がすでにXでこの件を否定している。だから、それ以上付け加えることは何もない」と述べた。

デジタルアセットサミットで登壇したリチャード・テン氏. Source: Cointelegraph

また、バイナンスUSはバイナンス本体とは法的にも運営上も独立した組織であることを強調した。

「バイナンスUSとバイナンス・ドットコムは全く別の存在だ。異なる株主がおり、異なる取締役会とCEOが運営している」とテン氏は説明した。

トランプ氏の仮想通貨政策を評価

一方で、テン氏はトランプ氏を称賛し、バイナンスがトランプ政権の仮想通貨推進政策の恩恵を受けていると述べた。

「昨年は、機関投資家がようやく仮想通貨市場に参入し始めた画期的な年だった」とテン氏は語った。

「トランプ大統領が戦略的な仮想通貨準備金を発表したことで、各国政府はこの分野を真剣に考えざるを得なくなるだろう」

トランプ氏は、前政権のジョー・バイデン氏とは異なり、米国を「世界の仮想通貨の首都」にするという方針を打ち出しており、仮想通貨業界寄りの人材を主要な規制当局の要職に任命している。

トランプ氏やCZ氏は否定

WSJに証言した関係者によれば、CZ氏がトランプ政権に恩赦を求めているという。CZ氏は、米国で4カ月間の服役を終えたばかりだ。

「仮に取引が成立したとしても、トランプ家がどのような形でバイナンスUSに関与するかは不明であり、それが恩赦と関連するかどうかも不透明だ」とWSJは報じた。

バイナンスは世界最大の仮想通貨取引所だが、バイナンスUSの米国市場でのシェアはコインベースに劣る。

CZ氏は、この報道が出た同日にXで全面否定した。トランプ氏も、自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」でこの報道を否定している。

「グローバリストのウォール・ストリート・ジャーナルは何も分かっていない。彼らは、米国を破壊するために結成された欧州連合の歪んだ思想に支配されている」とトランプ氏は投稿した。