タイ政府のデジタルウォレットを通じて16歳以上の全市民にお金を分配するという計画が、逆風に直面するかもしれない。タイの国務評議会がその資金調達方法に関して否定的な姿勢を示している。
タイのメディアのザ・ネーションの報道によれば、経済刺激策として5480万人のタイ市民に1万バーツ(約4万1200円)を配布する計画について、国務評議会は否定的な立場を取っている。国務評議会は、政府がそのような措置を必要としていると判断した場合、計画に必要な資金を借り入れる法案を提案するのではなく、政令によってそれを実行すべきだったと述べた。立法を通じて計画を資金調達するのは数か月を要すると国務評議会は指摘した。
その後、ジュラパン・アモーンヴィヴァット財務副大臣は、計画が合法であり、予定通り5月1日に実施可能であると国務評議会が結論付けたと主張した。一方、野党の政治家たちは、計画に関する懸念などを取り上げる特別審議の準備を進めている。スレッタ・タビシン首相も、プロジェクトの資金調達について政府会議を計画していると報じられている。
国務評議会の報告書は公開されていないが、政府がその意見を開示することは認められたとザ・ネーションは報じている。国務評議会は政府のメンバーで構成され、首相が議長を務める諮問機関である。その意見は影響力があるが、拘束力はない。
配布は当初2月1日に行われる予定だったが、計画は立案当初から抵抗に遭っており、野党の一部は、首相サイドによる選挙運動であり、違憲であると批判している。一方で計画の支持者たちは、この動きがタイ経済の5%の成長につながると主張している。
計画の遅延は10月に発表され、資金調達の複雑さに起因するとされた。資金の配布を実施するための「スーパーアプリ」ウォレットの開発も予定より遅れていた。ジュラパン財務副大臣は10月に「首相は2月1日までに給付準備を整えるよう指示したが、安定して安全なシステムを開発する時間が必要なため、実現できないと彼に伝えるつもりだ」と述べた。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン