ステーブルコイン発行企業テザーは、テレグラムのWeb3エコシステムとの関係を強化し、米ドルペッグのステーブルコインであるテザー(USDT)などをオープン・ネットワーク(TON)上で立ち上げる。
テザーは4月19日、米ドルと連動するUSDTと金に裏打ちされたテザー・ゴールド(XAUT)をTONブロックチェーン上で展開すると発表した。この発表は、ドバイで開催された仮想通貨イベントToken2049において、テザーのパオロ・アルドイノCEOとテレグラム創設者パーヴェル・ドゥーロフ氏が基調講演を行った際に行われた。
同イベントでは、テザーが組織再編を発表し、テザー・データ、テザー・ファイナンス、テザー・パワー、テザー・エデュの4つの新事業部門を設立することを明らかにした。
アルドイノ氏によると、TONとテザーは、オープンで分散型のインターネットとクロスボーダー金融システムを目指すという共通のビジョンを持っている。「USDTとXAUTのTON上での立ち上げにより、シームレスな価値の移転が可能となり、活動と流動性が増加し、ユーザーには従来の金融システムに匹敵する金融体験を提供することができる」とテザーのCEOはのべた。
このUSDT-TONの新展開は、トロンやイーサリアムを含む15のブロックチェーンにまたがるテザーの拡大における新たなマイルストーンとなる。このマイルストーンはTONネットワークにとっても重要で、4月16日に時価総額でドージコイン(DOGE)を抜き、9番目に大きな仮想通貨となった。
「TONブロックチェーンはテレグラムと連携しており、TON上のUSDTとXAUTは、テレグラムが9億人以上と推定する世界中のユーザーベースに対し、クロスボーダーのピアツーピア支払いのシンプルな体験を提供する可能性を持っている」と発表には記されている。
TON財団のマーケティング責任者ジャック・ブース氏は、TONエコシステムが法定通貨と仮想通貨間の移転を可能にし、従来の金融を効率と使いやすさで上回ることを目指している点がUSDTのTON上でのローンチのユニークな点だとコインテレグラフに語った。
「法定通貨のオンランプが立ち上げ時に組み込まれており、銀行カードや口座へのグローバルなオフランプが近く導入される予定だ。これにより、大勢の人々が初めて仮想通貨インフラを使って世界中での支払いを行うことができるようになるだろう」と同氏はのべた。
USDTのTONブロックチェーン上での立ち上げは、2つのエコシステムが交差する初めての例ではない。少なくとも2023年以降、USDTはビットコイン(BTC)やTONコイン(TON)などの他のコインとともに、テレグラムユーザー向けのサードパーティのカストディアルウォレットであるウォレットで利用可能なデフォルトの仮想通貨の1つとなっている。