11月5日に公開された科学ジャーナルのネイチャー・サステイナビリティによる最近の研究で、仮想通貨マイニング(採掘)が、同じ市場価値を生み出すために鉱業採掘よりも多くのエネルギーを消費することが分かった。

米エネルギー省傘下の オークリッジ科学教育研究所の科学者らは、アルミニウム、銅、ゴールド、プラチナ、希土類酸化物と比較して仮想通貨マイニングによって消費されるエネルギーはどれほどなのか評価するために調査を実施。

2016年1月1日から2018年6月30日までの期間、1ドル相当を採掘するのにビットコイン(BTC)は平均17メガジュール(MJ)を消費していたことが分かった。アルトコインは、イーサリアム(ETH)が7MJ、ライトコイン(LTC)が7MJ、モネロ(XMR)が14 MJだった。

一方で、アルミニウム、銅、金、プラチナ、希土類酸化物は、それぞれ122MJ、4MJ、5MJ、7MJ、9MJだった。これらの知見は、鉱物採掘は、アルミニウムなどいくつかの酸化物を除いて、仮想通貨よりも消費エネルギーが少ないことを示している。

仮想通貨のマイニングおよびそれ以外の天然資源の採掘に必要なエネルギー消費量

Crypto mining power consumption compared to ‘real’ mining. Source: nature.com

また、 ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)とライトコイン(LTC)のエネルギー消費量は、毎年増加傾向にある。たとえば、2016年にBTCは1米ドルを生成するために17 MJが必要だったが、現在は19 MJに増加した。

報告書によると、1ドル当たりのエネルギー需要は引き続き増加する。科学者らは、調査期間の3年間で、マイニングは300万〜1500万トンの二酸化炭素(CO2)排出に責任があると結論づけている。

高いエネルギー消費は、仮想通貨の「アキレス腱」とみなされる。2月の報告によると、アイスランドでの仮想通貨マイニングは、2018年に家庭での消費エネルギーよりも多くなると予想されていた。

5月には、エコノミストアレックス・デ・フリース氏が、BTCマイニングは2018年までに世界のエネルギー消費の0.5%を占めると主張している。

しかし、米国のクリーンエネルギー専門家カトリーナ・ケリー氏は、この議論が「過度に簡素化されている」と指摘し、その予測に疑問を呈した。ケリー氏は、例えば、アイスランドにおけるビットコイン採掘のエネルギー源は再生可能エネルギーと主張している。