科学誌「ジュール」に「深刻さを増すビットコインのエネルギー問題(Bitcoin’s Growing Energy Problem)」という論文を16日に発表した経済学者のアレックス・デ・フリース氏は、インデペンデント紙に対し、18年末までにビットコイン(BTC)マイニングが世界のエネルギーの0.5%を消費することになると述べた

 デ・フリース氏によれば、ビットコインネットワークは現在約2.55GWの電力を消費しており、将来的に電力消費量が7.67GWに到達する可能性があることという(参考までに、アイスランドは3.1GW、オーストリアは8.2GWの電力を消費している)。このことから、デ・フリース氏は、同ネットワークには「大きな問題があり、その問題が急速に深刻化している」という結論を出している。一方で、デ・フリース氏は、ライトニングネットワークなどのソリューションが「事態を改善する可能性がある」と指摘している。

 ビットコインのマイニングは、ハッシュ値を計算するために大量の電力を必要とする(マイナーはその報酬としてビットコインを受け取る)。2月中旬、今年のアイスランド国内の仮想通貨マイニングによる電力消費量が一般家庭における電力消費量を超えると報じられた。ビットコインマイニングが地球環境に負荷を与えるという議論を巡っては、銀行へのアクセスが困難な国においてビットコインが本当に必要とされていることから、取るに足りない問題と見なす人もいる。

 一方、デ・フリース氏はインデペンデント紙に対し、「0.5%という数字を見るだけでもかなり衝撃的だ」と述べる。

「通常の金融システムと比較すれば、大きくかけ離れたものだ。マイニングによる電力需要の増大は、温暖化対策の目標を達成する上で、まったく助けにならない」

 研究では、さまざまなタイプのビットコインマイナーと、それぞれのエネルギー使用量について詳細に記述している。「大量のハッシュ計算を行うビットコインマイニング用マシンにより消費される電力量を測定するのは、非常に難しい」と指摘する。デ・フリース氏は、ビットメイン社製のアントマイナーを例に、寿命が尽きるまでマシンがどれだけの電力を消費するかを示している。

 デ・フリース氏の論文は、初めて専門家の手によってビットコインの電力消費データを示したものだ。フリース氏は、彼の論文が「議論の発端になる」ことを望んでおり、「大雑把な計算」ではなく「ビットコインネットワークがどこへ向かうのかについてのより科学的な議論」が必要だという考えをインデペンデント紙に述べた。

 一方、ビットコインを支える技術であるブロックチェーンは、環境への影響を緩和する目的でも使用されている。今週IBMは、ヴェリディアム・ラボと提携し、企業がブロックチェーンを使ってカーボンフットプリントをより正確に追跡し、潜在的に炭素排出による影響を減らせるようにするため、カーボンクレジットをトークン化する計画を明らかにした