ブロックチェーンを基盤とする決済ネットワーク企業リップルは、仮想通貨に対応したプライムブローカーのヒドゥン・ロードを買収したと発表した。これは、仮想通貨業界における過去最大級の合併のひとつとなる。

リップルは、ヒドゥン・ロードを12億5000万ドルで買収すると、4月8日に正式に発表した

この買収により、リップルはグローバルかつマルチアセットのプライムブローカーを所有・運営する初の仮想通貨企業となる。4月8日の発表によると、ヒドゥン・ロードは現在、300以上の機関を対象に年間3兆ドル超の取引を決済・清算しており、この買収によってリップルは世界最大の非銀行系プライムブローカーとなる見込みだ。

また、この買収は、2024年12月にリップルが機関投資家向けに立ち上げたステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」の地位強化も狙っている。

リップルはヒドゥン・ロードの長年の顧客

リップルは長年ヒドゥン・ロードの顧客であり、「その卓越した専門性を直接知っている」と、リップルのCEOブラッド・ガーリングハウス氏は4月8日のX(旧Twitter)投稿で述べた。

ガーリングハウス氏は、ヒドゥン・ロードが年間3兆ドルのクリアリングを行っており、その一部がリップルの支援するXRPおよびその基盤となる分散型パブリックブロックチェーン「XRPレジャー(XRPL)」を活用することになると語った。

Source: Brad Garlinghouse

「これまで法定通貨の決済システムでは取引の清算に最大24時間を要していたが、ヒドゥン・ロードは今後、一部取引のクリアリングにXRPLを使用し、より重要な点として、プライムブローカーサービス全体でRLUSDを担保として活用する」とガーリングハウス氏はXに投稿した。

「重要なのは金額ではない。この買収は、仮想通貨が最大かつ信頼される伝統的市場にアクセスする、またとない機会であり、その逆もまた然りだ」と、同氏は付け加えた。

リップルはIPOよりM&Aに関心

リップル社長モニカ・ロング氏は、2025年パリ・ブロックチェーン・ウィークでのファイヤーサイドチャットにおいて、今回のヒドゥン・ロード買収について触れ、リップルが近い将来上場(IPO)を検討しているかどうかについても言及した。

以前には、米証券取引委員会(SEC)との訴訟が和解に至った後、リップルがIPOに向かうとの観測も出ていたが、ロング氏は同社が現在は買収(M&A)により強い関心を示していると述べた。

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Ripple president Monica Long during a fireside chat with Arjun Kharpal at Paris Blockchain Week on April 8. Source: Cointelegraph

「現在、私たちは間違いなくM&Aに積極的に取り組んでいる」とロング氏は述べ、さらにこう続けた。

「IPOは、流動性を求めている企業にとっては合理的だと思うが、現在の当社の成長においてそれは制約となっていない。私たちは非上場企業として事業を拡大すること、そしてM&Aによる自然な成長に注力している」

SEC指導部の交代が重要な役割

ガーリングハウス氏は、この動きが米国のデジタル資産業界にとって重要な時期にあるとした上で、規制の変化に伴い市場への大きな貢献となると語った。

「デジタル資産の次なる採用フェーズに向けた分岐点にある。旧SECの規制が終焉を迎え、米国市場が実質的に初めて開かれ、伝統金融のニーズに応える成熟した市場になりつつある」とし、次のように続けた。

「このような追い風の中で、リップルは独自の立ち位置とXRPの強みを生かし、ビジネスを加速させ、現行のソリューションやテクノロジーを強化することで、業界の大変革を引き続き目指していく」

ヒドゥン・ロード創業者兼CEOのマーク・アッシュ氏は、この買収によって同社の成長が大きく加速するとの見通しを示した。

「新たな資金、ライセンス、リスク資本によって、ヒドゥン・ロードの事業は大幅に成長するだろう。顧客基盤への対応能力を高め、新商品にも進出し、より多くの市場と資産クラスをカバーできるようになる」とアッシュ氏は述べた。