仮想通貨メーカーダオ(MakerDAO)のスマートコントラクトCDP(Collateralized Debt Positions、担保付債務ポジション)にロックされていたイーサ(ETH)のうち、27%は単一のイーサリアム・アドレスに属しているという。

ブロックチェーンデータ分析企業デジタル・アセット・データの調査結果をコインテレグラフが入手した。

MakerDAOによって作成されたステーブルコイン「ダイ(Dai)」は、ユーザーが仮想通貨を担保としてステーブルコインを生成できるようにする。Daiは、法定通貨を集めた銀行口座で直接裏付けられていないが、ETHをCDPスマートコントラクトに入れることで生成される。

2019年11月、Daiは1億トークンの債務上限に達した。その後、複数の資産を担保とする「複数担保型Dai(MCD)」を導入した

旧いバージョンのETHのみを担保として生成されるDaiは、「サイ(Sai)」と呼ばれるようになり、新しい複数担保のものが「ダイ(Dai)」と呼ばれるようになった。MCDの場合は、様々な資産のCDPは「ボルト」と呼ばれるようになり、ETHボルト、ベーシック・アテンション・トークン(BAT)ボルトなどが存在する。

MakerDAOのエコシステムは成長

デジタル・アセット・データによれば、約155,000のCDPsが古いバージョンのMakerプロトコルで開始され、77%が0.05ETH以下のETHを保持していた。

デジタル・アセット・データのデータサイエンス責任者のブランドン・アンダーセン氏は、コインテレグラフに次のように語っている。

「CDPでロックされた価値の27%が1つのアドレスで保持されていた。またボルトシステムに同様の分布がみられ、1つのアドレスに価値の15%がロックされている。Makerが成長し続けるについて、この配分がどのように展開していくかを我々は注視していくが、もし広く採用されることになれば、この割合は低下していくだろう」

アンダーセン氏は、これらのアドレスが必ずしも単一のエンティティではない可能性があると付け加えている。

「これらのアドレスの1つ以上が、MakerDAOの一部のETHを含むスマートコントラクトであり、単一のエンティティを表していない可能性がある。かなりの量の追加調査をしなければ、これらのアドレスを特定することはできないだろう」

彼は、エコシステム内部で不均衡な量のETHをロックしているプレイヤーがいる可能性がある一方で、ロックされた資産の合計量は増加し続けており、「このプロトコルは実際に参加したい人々に開かれている」と結論付けている。

デジタル・アセット・データによれば、3500以上のボルトが新しいシステムで作成されており、そのほとんどが1ETH以上を保持している

DeFiでロックされたETHは過去最高に

既にコインテレグラフでも報じているように、DeFi監視のDeFiPulseによると、分散型金融(DeFi)のアプリケーションでロックされているETHの数は過去最高を更新。1月15日に310万ETHに到達した

DeFiPulseによれば、DeFiアプリでロックされた資金の総額は現在は320万ETHに達しており、そのうち57%がMakerDAOシステムにある。

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