北朝鮮のインターネット利用が過去3年間で増加し、同国の仮想通貨を使った犯罪に影響していることを指摘するレポートが公表された

米サイバーセキュリティ企業のレコーデッド・フューチャーの情報部門「Insikt Group」が北朝鮮に関するレポートで、過去3年間でインターネット利用が300%増加していると指摘した。

レポートでは「暗号技術とブロックチェーン技術の活用は、違法に入手した資金を転送し、使用するだけでなく、収益を生み出すための重要な戦略になっている」と結論づけている。


収益を生み、制裁回避のために仮想通貨を利用

調査は2019年1月1日から2019年11月1日まで北朝鮮の政府幹部を対象に行われた。インドや中国、ネパール、ケニア、モザンビーク、インドネシア、タイ、バングラデシュなど8か国で北朝鮮のエージェントを追跡した。

調査によると、北朝鮮は仮想通貨を戦略的武器として活用を続けており、韓国の仮想通貨取引所や詐欺、仮想通貨ジャッキング、仮想通貨マイニングの大規模なハッキングに関与しているという。

さらに2019年5月から匿名通貨モネロのマイニングアクティビティが2018年から10倍に増加しているとして、匿名通貨により、資金を融通しているとみている。

不正な銀行業務や情報技術作業、金融犯罪に加えて、仮想通貨の生成と盗難によって、収益を生み出し、国際的な制裁や規制を回避するための主要なツールとなっていると指摘した。

Insiktによると、インターネットが北朝鮮の指導者にとって重要なツールであり、収入源だけでなく、弾道ミサイルやサイバー攻撃のための知識を習得するための手段にもなっているという。

北朝鮮については今月にもブロックチェーン分析企業チェイナリシスが報告。2019年に北朝鮮が支援するハッカー集団ラザルスが複数の仮想通貨取引所を標的にしていたとした。

チェイナリシスによれば、2019年3月にラザルスは、シンガポール拠点のドラゴンEX取引所からさまざまな種類の仮想通貨を700万ドル(約7億7000万円)相当盗んでいた。

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