新型コロナウイルスによって世界の中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)の開発が本気度を増してきた。しかし、エンタープライズ向けブロックチェーン開発企業R3によると、企業や消費者向けのCBDCは現在のところ存在しない。

R3による最新のレポートによると、CBDCは商業銀行向けに限られるホールセールと企業や中小企業、個人を含むリテールに大別される。前者は中央銀行にとっての「新たなマネタイズの手段」にすぎないが、後者は「中央銀行のデジタル通貨へのアクセスを増やす機会」。現在、世界の中央銀行が生産を進めているCBDCは、全て前者だという。

「ホールセールCBDCと異なり、リテールCBDCは生産段階で存在していない。リテールは、一般的には、中央銀行によるマネーへのアクセスがない金融機関や企業、一般社会向けだ。ただ、リテール向けのCBDC開発に向けてもようやく歩みを始めたようだ」

CBDCをめぐっては新型コロナウイルスで現金決済の弱点が露呈したことなどから、加速度的に注目を集めている。

中国の人民銀行は2022年の北京五輪などで導入する予定を発表。中央銀行の中央銀行と言われる国際決済銀行(BIS)は、CBDCへの注目度が新型コロナの影響で急上昇していると認めた

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン