ナノ財団は9日、ハッキング後に破産した仮想通貨取引所ビットグレイルの被害者全員に対し、代理人を利用したり、法的な利益追求の機会を提供したりするため、法的基金に資金援助を行うと発表した

 イタリア拠点のビットグレイルは、2月に1700万ナノ(当時の価格で約200億円)がハッキングで不正流出したことを受け、取引を凍結した。ナノ財団は、被害者が資産を取り戻せるよう、2月末にエスペン・エンガー氏に接触し、基金を立ち上げたという。エンガー氏は、その時点で600人のハッキング被害者の代表となった。その後、ナノ財団は、エンガー氏と協力関係にある法律事務所ボネリ・エレーデにも連絡をとった。ナノ財団は次のように述べている。

「その結果、ナノはエンガー氏が設立した法的基金に拠出し、被害者への寄付金に上乗せする。ナノ財団の拠出金は、過去および将来の分を含め最大100万ドルとし、基金と合計で200万ドル相当の法的基金を目指す」

 ナノ財団のブログによると、エスペン・エンガー氏が代理を務める被害者らは、およそ5万3000ナノを含め、30万ドル以上を自力で調達した。ナノ財団からの寄付を合わせると総額は60万ドル以上となる。同財団は寄付以外で、基金を利用、管理することはないとしている。

 ナノ財団は、再調査の結果「ビットグレイルのソフトウェアのバグが、資金流出の要因であることを示す確かな証拠が得られている」と述べている。一方、ビットグレイルはセキュリティの欠陥の責任を否定し、ナノのソフトウェアに問題があったと主張している。