イーサ(ETH)の価格が、ペクトラ(Pectra)アップグレードの実装を受けて過去24時間で20%近く急騰し、2025年を通じて不透明だったセンチメントにようやく転機が訪れた可能性があるとの見方が広がっている。

コインマーケットによれば、記事執筆時点でイーサは2230ドル付近で取引されており、前日比で19.6%上昇した。仮想通貨トレーダーであるダーン・クリプト・トレード氏はこの動きについて「まさに驚異のローソク足」と表現している。なお、同期間中にイーサのオープン・インタレスト(建玉)も21%増加した。

ペクトラが価格急騰の引き金に

今回の上昇は、待望されていたペクトラが5月7日に稼働したことが背景にある。ペクトラでは新たなウォレット機能、ステーキング上限の引き上げ、スケーラビリティの向上などが導入された。

トレーダーのアレックス・クルーガー氏は5月8日、「この上昇の主因は“新規ロングの流入”だ」と分析している

一方で、もしイーサが2000ドルまで下落した場合、20億6000万ドル相当のロングポジションが清算リスクにさらされる。実際、今回の急騰でショートポジションが大量に狩られ、推定3億2800万ドル分が清算された。

仮想通貨トレーダーのボブ・ルーカス氏は「これはついにイーサの転換点になるとホルダーたちは考えているだろう」とコメントした。

2025年はイーサにとって厳しいスタートとなっていた。年初来で56%下落し、4月9日には今年最安値となる1472ドルを記録していた。その後、センチメントは軟調が続いていたが、今回の急騰で流れが変わった可能性がある。

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イーサ価格の推移 Source: CoinMarketCap

ビットコイン(BTC)も同期間中に3.59%上昇し、過去7日間では約6%の上昇を記録。5月8日には3カ月ぶりに10万ドルの大台を回復した。

オンチェーンオプションプロトコルDeriveの創業者ニック・フォースター氏はコインテレグラフに対し、「今回のイーサ上昇はペクトラだけでなく複数の要因が重なった結果だ」と述べている。

フォースター氏はその要因として、米国と英国の貿易協定に言及。トランプ大統領が英国製自動車と鉄鋼への関税を引き下げたこと、そしてコインベースが仮想通貨デリバティブ取引所デリビットを29億ドルで買収すると発表したことを挙げた。

歴史は繰り返すのか──第2四半期の平均リターンは62%

イーサは過去の統計的に、第2四半期の平均リターンが62.2%となっており、4月1日時点の価格を基準にすれば6月末までに2950ドルに達する可能性もある。

ただし、現物イーサ上場投資信託(ETF)にはその勢いが波及していない。ファーサイドのデータによれば、5月8日には3日連続となる資金流出を記録し、1日あたり1610万ドルが流出した。

とはいえ、仮想通貨市場全体ではビットコインの上昇を背景に価格とセンチメントがともに上向いている。過去24時間で仮想通貨全体の時価総額は4.95%上昇し、恐怖強欲指数も8ポイント上昇して73となり、「強欲」領域へとさらに深く踏み込んだ。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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