韓国IT大手カカオの銀行部門であるカカオバンクが、同国の仮想通貨規制の転換を受けて、ステーブルコイン事業への本格的な参入を進めていると報じられた。
ZDNetの報道によると、カカオバンクの最高財務責任者(CFO)クォン・テフン氏は、2025年上半期の決算説明会において「発行やカストディなど、さまざまな方法を検討しており、デジタル資産エコシステムへの積極的な参画を計画している」と述べた。
この取り組みは、カカオグループ内のステーブルコインタスクフォースが主導しており、カカオペイなど主要関連会社の幹部が参加しているという。
今回の方針転換は、2025年6月に就任した李在明(イ・ジェミョン)大統領による仮想通貨支持の影響を色濃く受けている。同大統領は就任以降、ステーブルコインの合法化を含む複数の仮想通貨関連法案を推進している。
カカオバンクは6月23日に、競合のKB金融グループ傘下の国民銀行と同時にステーブルコイン関連の商標を出願しており、同様の計画を持つ韓国の主要銀行は8行を超え、2026年までに韓国ウォンに連動したステーブルコインを発行する方針を打ち出している。
デジタル資産分野の実績も強調
カカオバンクのクォン氏は、同社がすでにデジタル資産分野での実績を有しており、「ウォレット開設や交換を含めた各種取り組みを成功裏に実施してきた」と説明。韓国銀行(中央銀行)が実施した中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験にも参加した実績を持つ。
「過去3年間にわたり、仮想通貨取引所向けに実名認証口座を発行してきたほか、『顧客確認(KYC)』や『マネーロンダリング対策(AML)』に基づくリスク監視を継続的に行ってきた」とも述べた。
カカオバンクのユーザー数は2586万人で、韓国の人口5170万人の約半数に相当し、今年3月時点の運用資産は464億7000万ドルに達している。
また、韓国国内の仮想通貨取引所ユーザーは1600万人を突破しており、これは同国人口の30%超に相当する。この背景には、2024年11月の米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことによる仮想通貨への関心の高まりもあるとみられる。
株価の反応は限定的
ステーブルコイン関連商標の出願が明らかになった直後には、カカオバンクの株価は一時3万7000ウォン(27ドル)まで上昇し、22.60ドルから19.3%の急騰をみせた。
しかし、今回の最新の事業方針発表を受けた水曜日の取引では、株価は一時2万7825ウォン(20.10ドル)まで上昇したものの、終値は2万6900ウォン(19.43ドル)と小幅にとどまった。
翌木曜日の取引でも、株価は前日比0.93%上昇し、2万7150ウォン(19.60ドル)で取引を終えている。
カカオバンクは2016年にコリア・インベストメント・ホールディングスとカカオの共同出資によって設立されたインターネット専業銀行だ。
世界で広がるステーブルコイン活用の動き
ステーブルコイン活用への関心は、韓国だけでなく世界中の企業や政府に広がっている。
企業向けのデジタル資産プラットフォームであるファイアブロックスが5月14日に発表したレポートによると、調査対象となった機関投資家の90%がステーブルコインの導入を検討しているという。
ロシア財務省の関係者も4月に、自国発のステーブルコイン開発計画を打ち出している。アブダビの主要3機関も同月中に、ディルハムに連動した新たなステーブルコインの共同開発を発表している。
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