認定自主規制団体の「日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)」は27日、新規仮想通貨に関する自主規制規則と、それを補足するガイドラインを発表した。今回の自主規制規則では、交換業者が新規仮想通貨の販売を行うICO/IEOの詳細を定めたほか、プロジェクトの「実現可能性」審査、詳細な情報開示を販売者に求める形となっている。

今回の規則では、仮想通貨の発行者が自ら販売も行うケース(いわゆるICO)と、仮想通貨発行者が取引所に販売を委託するケース(いわゆるIEO)の2つのケースについて想定している。

ICO

仮想通貨の発行者が自ら投資家に販売する、ICOのケースでは、発行者自らが「仮想通貨交換業」のライセンスを取得する必要がある。

これは、現在の資金決済法でも仮想通貨の販売や交換を行うには、仮想通貨交換業の登録が必要とされているためだ。

IEO

今回の自主規制規則では、新規仮想通貨の発行者が、仮想通貨交換業者に販売を委託するケース、いわゆるIEOについてのルールも定めている。

この場合、仮想通貨の発行者は交換業のライセンスは必要ない。ただし、発行者は販売行為や広告、宣伝、勧誘などの「販売の媒介」にあたる行為は行ってはならないとしている。

IEOで新規通貨の販売を受託する交換業者側でも、仮想通貨関連部門から独立した審査部門の設置や、社内規則やマニュアルの作成、内部監査などの体制整備をしなくてはならない。また販売終了後も、新規通貨のプロジェクトをモニタリングする必要がある。

プロジェクトの「実現可能性」を審査

JVCEAは「仮想通貨の取扱いに関する規則」を既に定めており、市場に流通している発行済み仮想通貨について、会員である交換業者から申請された内容の審査を行う枠組みが存在する。

しかし、新規の仮想通貨については、資金調達という性格があることから、発行済みの通貨とは異なる枠組みを設けている。

その一番の違いは、販売者がプロジェクトの適格性や実現可能性、持続可能性などを販売者が審査することだ。

具体的には「発行者の健全性及び独立性」「発行者の財政状態および資金繰り状況の健全性」「対象事業の適格性」「対象事業見通し」など、プロジェクト全般に関してチェックを行うことになっている。

ただ、規則で列挙された審査項目については、ガイドラインでは「絶対的な要件ではなるものではない」としている。特にスタートアップのようなケースを想定し、発行者の規模や成長フェーズなどを考慮して個別具体的な評価・判断をしていくという。

詳細な情報開示が必要に

新規の仮想通貨を販売する場合には、購入者に対して詳細な情報開示を行う必要がある。これは「公衆が容易にアクセス可能な電磁的方法」で公表しなければならないとなっている。

情報公開の対象は、規則では50項目以上にわたる。具体的に次のようなものだ。

「発行者の情報」(住所、沿革、財務状況など)、「新規仮想通貨の情報」(発行目的、具体的な用途、発行数量など)、「調達資金の情報」(調達資金の使途の詳細など)、「対象事業の情報」(事業計画や実現可能性など)、「販売に関する情報」(販売価格、申込方法など)。

また販売が終了した後にも、新規通貨の発行量や販売数量、調達額などの情報を開示しなければならないとなっている。

コインチェックは検討開始

今回、詳細なルールが整備されたことになったが、具体的にどのような運用になっていくのかはこれからだ。コインチェックは8月、IEO事業の検討を開始すると発表している。今後、コインチェックに続き、国内の仮想通貨交換業がIEOに参入していくかどうか、注目する必要があるだろう。