カデナは1月15日、「ハイブリッドブロックチェーン」をうたう「Kadena(KDA)」の運用開始を発表した。このハイブリッドとは、今回発表のパブリックチェーン版、あるいはプライベート(許可型。Permissioned)型の「Kadena Kuro」とを並列させて利用でき、さらに相互接続・相互運用可能なことを意味しているようだ。どちらもスマートコントラクトが動作・開発可能となっている。

Kadenaは、JPモルガン・チェース初の分散型台帳プロジェクトとして2016年に公開された、「Juno(ジュノ)」をフォーク(分岐)・発展させたもの。2019年11月発表時には「Chainweb」と呼んでいたが、現在はその名称は利用していないそうだ。

パブリックチェーンとしてのKadenaは、コンセンサスアルゴリズムとしてPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用。暗号学的ハッシュ関数は、一時SHA-3規格のアルゴリズム候補とされていた、高速処理を特徴とするBLAKEシリーズ(BLAKE2s)を利用している。また、Kadena Kuroの場合は、BFT(ビザンチン・フォールト・トレラント)コンセンサスプロトコルとなるようだ。

Kadenaは、スマートコントラクトの動作・開発も可能。オープンソースかつ独自の開発言語として、関数型プログラミング言語Haskellライクな「Pact(パクト)」を利用可能だ。

パブリックチェーンとプライベート型をシームレスに統合可能

カデナの共同設立者兼社長のスチュアート・ポペジョイ(Stuart Popejoy)氏によると、Kadenaは、パブリックチェーンと(企業内などの)プライベート型チェーンををシームレスに接続可能と主張。この技術には大きな可能性があるものの多くの制限があるため、Kadenaは重要なマイルストーンとなっていると説明した。

「ブロックチェーンは大きな可能性を備えているが、JPモルガン初のJunoを構築した際に、その限界を経験した。パブリックチェーンとプライベート型チェーンを統合し、完全に機能するハイブリッドブロックチェーンは、アプリケーションをチェーン上で実行できることを再考する上で重要な1歩となる」

Kadenaは10チェーンで開始し、2020年第2四半期に100チェーンに拡張予定

カデナは、コインテレグラフに対してKadenaが1秒あたり750トランザクションを処理可能と説明した。

カデナ共同設立者兼CEOのウィル・マルティーノ氏によると、(パブリックおよびプライベートの)10チェーンで「意図的に小さく始めている」と明かした。Kadenaメインネットは「従来のレイヤー1プロトコルの10倍の数のチェーンを単一ネットワークで」展開可能という。10チェーンのすべてのトランザクション(取引)は、すべてKadenaのブロックエクスプローラーで追跡できるそうだ。

またマルティーノ氏は、Kadenaは分散化とスケーリング問題に対処できているという。同氏は、2020年第2四半期にKadenaネットワークを大規模に拡張予定で、100チェーンにアップグレードする可能性が高いと付け加えた。

マルティーノ氏は、企業により多くのチェーンを立ち上げていた場合、人々はKadenaの重要性を認識できなかっただろうと説明した。

「1000チェーンで運用を開始した場合、人々はKadenaが市場にもたらすインパクトの大きさをイメージできなかっただろう。第2四半期には、100チェーンなどのより大規模なネットワークにアップグレードする予定だ。今のところ、10チェーンで展開し、我々がユニークな価値を提供していることを示す」

【関連記事:JPモルガンのブロックチェーンプラットフォーム「INN」、来年はじめにも日本で展開

【関連記事:JPモルガン、デリバティブ取引にブロックチェーン導入 現金・担保処理を自動化

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン