日本政府が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討を公式に始めることがわかった。日経新聞が14日、報じた。近く閣議決定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込むという。

これまでに自民党の金融調査会長である山本幸三氏などが「骨太の方針」に盛り込むように訴えてきたが、ようやく本格化するようだ。

日経新聞は政府の決定について以下のように報道した。

「骨太の方針には日銀が技術的な調査のための実証実験を始めると紹介した上で「各国と連携しつつ検討する」と明記した。」

骨太の方針は経済財政の骨格を決めるもの。これに盛り込むことで、内外に日本政府がCBDCの検討に乗り出すことを表明することになった。

CBDCを巡っては今年10月に開催される20カ国地域(G20)でもデジタル通貨を容認する方向で調整が進んでいることが報じられるなど、世界中の中央銀行で動きが加速している。

最近では、14日に英国の中央銀行であるイングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁が学生向けのウェビナーで構想を明かしたほか、シンガポールの中央銀行である金融管理局(MAS)が商業用の実装段階に入ることを発表している。

日銀はこれまでに「発行する計画はない」との態度を繰り返していたが、7月2日に「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」というレポートを公表。「実証実験等を通して、技術⾯からみた実現可能性(フィージビリティ)を確認していく」と宣言した。この中でブロックチェーンを使うかは要検討事項としている。

骨太の方針に盛り込まれた場合に、今後はどのようなスケジュールで動くかが注目される。重要なのは法改正だ。

山本幸三氏はこれまでにコインテレグラフジャパンに対し、法改正などを含むことを考えると「2〜3年でも超高速スケジュール」と説明。まずはホールセール部門から始め。徐々にリテールにも広げていくのがいいのではないかとの考えを明かした。

世界で進むCBDC開発

世界各国でCBDCの実装に向けた動きが活発化している。

7月13日の報道では、20カ国地域(G20)が現金に変わる決済手段として、デジタル通貨を容認する方向で調整していることがわかった。

フェイスブックが計画する仮想通貨リブラなどの影響力を懸念する中で、民間企業の動きを牽制してきたG20だが、世界各国の中央銀行でCBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入計画が具体化してきたことから方針を転換する。

またシンガポールでは、中央銀行にあたるシンガポール金融管理局(MAS)が、ブロックチェーン決済プロジェクト「プロジェクト・ウビン(Project Ubin)」が完成し、商業用準備が整ったと発表した。MASは2019年11月に決済ネットワークのプロトタイプ開発に成功。現在まで商業的なブロックチェーンアプリケーションと連携できるかどうかのテストを続けていた。

イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁も、デジタル通貨発行の可能性を模索していることを表明している。ベイリー氏は「2,3年後に何らかの形でデジタル通貨開発に向かうことになるだろう」と語っている。

「イングランド銀行のデジタル通貨を作るべきかの質問については、検討している。検討し続けるだろう。社会における支払いそのものに大きな影響を与える可能性がある。2、3年後に何らかの形でデジタル通貨開発に向かうことになるだろう」