20カ国地域(G20)が現金に変わる決済手段として、デジタル通貨を容認する方向で調整していることがわかった。共同通信が報じた。10月にもマネーロンダリングの防止など規制について議論を本格化させる。

共同通信によると、複数のG20関係者が明らかにしたという。

フェイスブックが計画する仮想通貨リブラなどの影響力を懸念する中で、民間企業の動きを牽制してきたG20だが、世界各国の中央銀行でCBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入計画が具体化してきたことから方針を転換する。

2020年のG20は10月に米ワシントンで「財務大臣・中央銀行総裁会議」が、11月にサウジアラビアのリヤドでで「財務大臣会合・G20サミット」が開催される。

G20に対しては、これまでに金融安定理事会(FSB)がステーブルコインの世界的な規制の必要性を訴えてきており、10月に最終的な提言が発表される見通しだ。

世界中で進むCBDC導入や実証実験

CBDCを巡っては中国人民銀行と中国版ウーバーである滴滴出行(ディディ)や中国の動画投稿最大手である「ビリビリ(哔哩哔哩)などが提携。実証実験を進めている。北京オリンピックで試験導入されるとの報道も出ている。

さらにはリトアニア中銀が7月に支払い目的ではないとしつつも、中銀が初めてCBDCを一般向けに発行・発売する。そのほかにもカンボジアの「バコン」やスウェーデンのEクローナも実証実験を進めている。

日本では日銀が7月にもデジタル通貨を「実証実験等を通して、技術⾯からみた実現可能性(フィージビリティ)を確認していく」という方針を表明。ただし、分散型台帳技術(DLT)を使うかどうかは要検討としている。

日本では民間で動きが活発化

民間部門でも仮想通貨取引ディーカレット が事務局となり、デジタル通貨勉強会が6月に発足した。

勉強会の座長を務める山岡浩巳氏はコインテレグラフジャパンに対し、「日本の決済インフラの問題点を解決する」という課題意識を持っていることを明らかにした。

ただし、問題は一般の人が利用できるリテール型CBDCを展開しようとすれば、銀行を介して資金仲介を行う金融の二層構造に大きな影響を及ぼしてしまうことだ。そのため、技術面だけでなく経済的な影響が大きくなってしまう。

山岡氏は、民間ベースで進めることの利点として、迅速で実装できることやイノベーションが起きやすいことを挙げた。また、民間でデジタル通貨を普及させるために重要なのがビジネスニーズやユースケースの問題であると指摘。

日本がユースケースを作らないことで世界的なデジタル決済の競争で遅れを取ってしまうことを懸念し、「日本が敏感に立ち回っていく必要がある」と話した。