ジャック・マー氏が支援するアント・グループ傘下のシンガポール法人、アント・インターナショナルが、香港とシンガポールでステーブルコイン発行ライセンスの申請を計画していることが分かった。ブルームバーグが関係者の話として報じた

報道によると、アント・インターナショナルは、8月に香港で施行されるステーブルコイン規制制度の開始後に、香港金融管理局(HKMA)にライセンスを申請する予定。シンガポールやルクセンブルクでも同様の申請を行う見通しだという。

アント・グループは、中国の巨大コングロマリットであるアリババ・グループの関連会社で、同社が運営するアリペイは、世界中で80万以上の加盟店と13億人以上のユーザーを抱える世界最大のデジタル決済プラットフォームである。

今回の動きは、ステーブルコインの国際的な規制枠組みが整備されつつあることに対する、伝統的なフィンテック企業の信頼感の高まりを示すものとみられる。ステーブルコインは、決済やデジタル資産の清算手段としてますます広く利用されている。

香港では5月21日、法定通貨建てステーブルコインの発行者にライセンス取得を義務づける「ステーブルコイン条例」が可決された。新制度は8月1日に全面施行される予定で、無許可での発行には最大500万香港ドル(約64万ドル)の罰金が科される。

Source: Cointelegraph

アント・インターナショナル、越境決済と財務管理にステーブルコイン活用へ

アント・インターナショナルは、自社の越境決済や財務管理業務においてステーブルコインを導入する方針を示している。

関係者によると、2024年には同社の世界における取引総額1兆ドルのうち、約3分の1がブロックチェーンベースの「Whale」プラットフォームを通じて処理されたという。

また同社は、アリババの電子商取引事業における決済処理も担当している。

アント・グループとその関連企業は、これまでもブロックチェーンやトークン化技術に関心を示してきた。2024年12月には、アント・デジタルがレイヤー1ブロックチェーンのSuiと提携し、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連の現実資産をトークン化する取り組みを行っている。

2025年末までにステーブルコイン供給が1兆ドル突破か

今回の報道は、ステーブルコイン市場の時価総額が初めて2,510億ドルを突破したとのDefiLlamaのデータが発表された直後のタイミングとなった。

Stablecoin total market capitalization: DefiLlama 

仮想通貨投資会社コインファンドのマネージングパートナー、デイビッド・パクマン氏は、ステーブルコインの世界供給量が2025年末までに1兆ドルを突破し、仮想通貨市場成長の次なる主要な原動力になるとの見方を示している。

「この10年以上、仮想通貨に欠けていた最大の要素は、資産の大規模なオンチェーン移行だった。ステーブルコインの普及が、それを実現する可能性がある」と、パクマン氏は3月27日のコインテレグラフ主催のライブ番組『Chainreaction』で語った。

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