イランが今週開催されるイベントで、イラン政府が支援する独自仮想通貨を発表する可能性が浮上している。中東の大手メディア、アルジャジーラが27日に報じた。イランはこれまでも米国による経済制裁を回避するため、政府主導による仮想通貨発行の計画が取り沙汰されてきたが、ついに独自の仮想通貨が公開されることになるようだ。

アルジャジーラの報道によれば、1月29日に開催される電子バンキングと決済システムをテーマにしたカンファレンス(今回のテーマは「ブロックチェーン革命」だ)で、仮想通貨が発表される予定という。

どのような仮想通貨が公表されるのか。その詳細は現時点では明らかになっていないが、アルジャジーラは最初の段階ではイラン国内で金融機関や仮想通貨関連の機関との間での決済手段になるのではないかと予想している。将来的には、イランの一般市民がモノやサービスの支払いに使う可能性もあるだろうと指摘する。

イラン版SWIFTへの布石か?

加えて、今回のイランによる仮想通貨は、より国際的な決済システム構築に向けた取り組みの始まりになるかもしれない。

昨年11月、銀行間の国際的な決済ネットワークであるSWIFT(国際銀行間通信協会)は複数のイランの銀行をSWIFTのネットワークから遮断した。SWIFTから遮断されたことで、貿易の支払いなどに支障が出ている可能性がある。

アルジャジーラは、今回発表される仮想通貨が、SWIFTの代替となる、ブロックチェーンベースの国際的な決済システム構築に向けた布石になる可能性があるとも指摘する。

イランとロシアの議会幹部は昨年5月、両国が米ドル立て取引を回避する方法として、仮想通貨に言及。両国がこの分野で協力関係を進めていくことを議論した。

また昨年11月には、イランとロシア、アルメニアのブロックチェーン研究機関は、3ヶ国でブロックチェーン技術で協力する協定を結んだ。ロシアのブロックチェーンの代表者はロシアのメディアに対して、イランがSWIFTのイラン版を積極的に開発していると語った。

その後、11月後半にはロシアのプーチン大統領は、「SWIFTに依存しない国際システムを構築するため、積極的にいくつかの国と協力している」とも発言している。

米国もイランのデジタル通貨に対して警戒感を示している。昨年12月、米議会の議員はイランのデジタル通貨開発に対する制裁を科すための法案を提出した。これは共和党のギャラガー議員が提案したもので、イランによるデジタル通貨を使った取引や、イランのデジタル通貨の販売や供給、送金などをした外国人に対して制裁を加える狙いだ。