デリー高等裁判所は、インド準備銀行(中銀)、インド財務省、物品サービス税(GST)評議会に対し、仮想通貨を扱う企業との取引を中止するという中銀の決定が、憲法に違反していると主張する通知を発行した.。インドの報道機関タイムズ・オブ・インディアが22日に報じた

 仮想通貨企業のカーリー・デジタル(Kali Digital)が先週、中銀の決定に苦情を申し立て、高等裁判所が通知を出したとみられている。中銀が今月5日、仮想通貨の取引を行う個人や企業に対し、今後サービスを提供しないと言明する通知状を公表した後、その禁止令を覆そうとオンライン請願活動が始まった。本記事公開時点で4万3000人以上の署名が集まっている。

 今年8月に事業開始予定の仮想通貨取引所コイン・リコイル(CoinRecoil)を運営するカーリーデジタルは16日、中銀の決定は、国民にあらゆる仕事、取引、または事業に携わる権利を認める憲法第19条(1)(g)と、対等な人たちの間の差別を禁止する憲法第14条に違反するとして正式に苦情を申し立てた。裁判官のS・ラビンドラ・バト氏とA・K・チャウラ氏により出されたデリー高等裁判所の通知は、当事者である3機関に対し、5月24日までに返答を行うことを求めている。

 インドのエコノミックタイムズ紙が伝えた申し立ての抜粋によると、カーリーデジタルは、中銀の決定が、憲法に反する形でコイン・リコイルの営業活動を阻止すると考えているという。

「当該の通知状を理由に、申立人は仮想通貨取引所コイン・リコイルを運営するのに銀行サービスを利用することができなくなる。このような銀行サービスは申立人の事業に不可欠である。それゆえ、事業は(…)最初から成功の見込みがなくなっている」

 カーリー・デジタルがGST評議会を申し立ての当事者に加えたのは、GST評議会が「仮想通貨に対する適切な規制の枠組み」を作らなかったため、「そのような取引の扱いに対する不確実性を増大させ、申立人の事業計画に悪影響を及ぼした」とカーリーデジタルが認識しているためだとザ・タイムズ・オブ・インディアは述べている。

 テクノロジー投資家であり仮想通貨の愛好家であるティム・ドレイパー氏もインド中銀の通知状に否定的な反応を示している。インタビューの中でインド政府が仮想通貨を正当な通貨として認めないことを「非常に愚かなこと」と述べ、もしナレンドラ・モディ首相に会う機会があるなら、中銀による仮想通貨禁止令は「大きな間違い」であると伝えるだろうと述べた。