FTXの破産訴訟は9月の第2週、、米破産裁判所が34億ドル相当の仮想通貨の売却を承認したことで、重要な節目を迎えた。

裁判所は清算過程の一部としてブローカーと政府から回収した資産13億ドルを承認し、現金26億ドルを合わせて、流動資産の合計額は71億ドルとなった。

清算の対象となる仮想通貨の中で、ソラナ(SOL)が11億6000万ドルで最も多く、ビットコイン(BTC)が5億6000万ルで2番目に大きな資産となった。

他に清算対象となる資産には、イーサ(ETH)が1億9200万ドル、アプトス(APT)が1億3700万ドル、テザー(USDT)が1億2000万ドル、XRPが1億1900万ドル、ビコノミー・エクスチェンジ・トークン(BIT)が4900万ドル、スターゲート・ファイナンス(STG)が4600万ドル、ラップド・ビットコイン(WBTC)が4100万ドル、ラップド・イーサ(WETH)が3700万ドルなどが含まれる。

8 月 31 日の価格に基づいた資産価値の概要. Source: United States Bankruptcy Court

ビットコイン、イーサなどの売却は、米司法省が指名した管財人に10日前に通知することが必要だ。裁判所はまた、これらの資産に対するヘッジオプションを許可した。ヘッジが許可されたことは重要で、FTXは先物、オプション、永久スワップなどの様々な金融商品を使用して損失を補うことができる。

この判決は、売却が承認された仮想通貨が大量だったため、業界全体から注目を集めた。多くの人々が仮想通貨市場への潜在的な影響について懸念を示した。

Web3に焦点を当てた法律事務所ケツァルのパートナーであるジョシュア・ガルシア氏は、清算が正しい決定かどうかを判断することは難しいとコインテレグラフに語った。彼は、「破産裁判所は債権者にとって何が有益かを重視する必要があり。そして、債権者は資産の価格の暴落よりも資金の回収をより重視するかもしれない」と語った。

「この決定がトークン価格にどの程度影響を与えるかは、裁判所の主要な関心事ではないかもしれない。潜在的な、または想像される市場への影響は、裁判所や債権者委員会にとって何の意味もないかもしれない。彼らの関心は、FTXの行動により何百万人ものユーザーが大きな損失を被ったことだ。被害者に対して可能な限り全額弁済することが最優先事項となる」

何十億ドルもの流動資産の発見は、この訴訟の多くの債権者を安堵させた。

資産保護を専門とする弁護士のブレイク・ハリス氏は、流動資産の発見がFTXの破産訴訟においてゲームチェンジャーとなる可能性があると考えている。

彼は「新たに発見された流動資産は、差し迫った法的義務と広範な市場への影響をバランス良く考慮した戦略的なアプローチを可能にするかもしれない」とコインテレグラフに語った。そして、「このような資産の発見は、当面の財政的義務を満たすことになるが、これらの資産が将来同様の状況を防ぐためにどのように管理されるべきかを考慮することが重要である」と付け加えた。

一方で、市場アナリストは、各トークンの日次取引量に基づいて、ソラナとアプトスの価格が清算後に価格変動を最も経験する可能性が高いと予測した。「FTXの清算が市場にどれだけの影響を与えるか? #SOL(81%)と#APT(74%)は、各トークンの日次取引量を見ると最も影響を受ける。#BTC、#XRP、#BNBの清算は市場にほとんど影響を与えない。それぞれが1%以下だからだ」とVelvet.Capitalはツイッターで述べている。

FTXの清算は仮想通貨市場に影響を及ぼすか

破産裁判所は、FTXの資産の清算が仮想通貨市場に負担とならないように、対策を講じている。

裁判所の命令により、FTXは事前に定められたルールに従って、投資顧問を通じてデジタル資産を週次で売却することが許可されている。ギャラクシーデジタルが資産の清算を任され、FTXの債権者のためにリターンを最大化し、市場の安定を確保する任務を負っている。

裁判所はまた、FTXに「債務者がその事業判断の合理的な行使において、そのような活動がその財産の最善の利益にかなうと判断した場合、資格を持つ保管人を通じて利用可能なステーキングオプションを利用する」ことを許可した。

最初の週には、資産の売却には5000万ドルの上限が設けられ、その後の週には1億ドルの上限が設けられる。上限は、債権者委員会などの事前の書面による同意を得て、裁判所の承認後に、週あたり2億ドルまで引き上げることができる。

企業訴訟専門の弁護士のアンソニー・パネビアンコ氏は、法的には、裁判所は債務者に「通常のビジネス範囲を超えて」資産を清算することを許可し、売却からの価値を最大化して債権者を返済することができるとコインテレグラフに語った。

「興味深いのは、裁判所が清算の許可を出す資産の一般的な市場を調査するという追加のステップを踏んだことだ。つまり、裁判所は、清算過程の方法によって、FTXの債権者だけでなく非債権者も保護しようとしている」

彼はまた、BTCとETHの清算戦略を強調した。彼は「ビットコインとイーサのヘッジ取引は、一定の投資ガイドラインに従っている」とし、「裁判所はソラナをこれらのヘッジ取引の対象資産に含めなかった。おそらく、FTXのソラナに対する大きなポジションのためだ」と付け加えた。

FTXが保有し、清算の対象となるすべての仮想通貨の中で、ソラナは破産したFTXの貸借対照表上に11億ドルの資産があるため、大きな議論の対象となった。市場アナリストによれば、ショートポジションを考えている人々は、FTXが保有するトークンの解除期間に注意する必要があり、2028年に完全にロックが解除される。

FTXのSOLステーキングの解除スケジュールを見ると、これらのトークンの大部分は、リニアな権利確定またはスケジュールされた解除を通じて、2028年までに徐々に市場に流れ出る。最大の解除は2025年3月に予定されている。。

リニアな権利確定は、特定の期間にわたってトークンバランスを徐々にリリースするためのシンプルな方法だ。現在、合計11億6000万ドルのSOLトークンのうち、24%しか解除されていない。ソラナ以外にも、アプトスのトークンも100%ロックされており、今後数年間で段階的に解除される予定だ。

ソラナのロック解除スケジュール. Source: An Ape’s Prologue/X

コインベースは独自の分析で、スケジュールされた段階的な清算が市場を安定させると述べ、特定の「インサイダー関連」トークンの売却に対する厳格なコントロールと、トークンの権利確定スケジュールにより、FTXのSOL保有の大部分が2025年頃までロックアップされることを指摘した。

多くの専門家が、FTXの清算により市場はほぼ安全であると述べる一方で、FTXの問題はまだ終わっていない。元CEOのサム・バンクマン-フリード氏の弁護団は、同氏の刑事裁判について検察と対立している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン