各国のICO規制まとめ

 ビットコインの後イーサリアムが生まれた。エコシステムが成長するにつれICOがブームになり、さらに多くの仮想通貨が誕生した。

 そして資金調達ツールとしてのICOに参加する企業が増加し、次第に多くの個人と投資家の関心を集めるようになった。そんな中、政府や規制当局がICOに注意を向け始めている。

 ICOは主にホワイトペーパーで様々な約束をしている。しかしあくまでも約束ベースであり、常に上手く実行されているわけではない。

 各国政府や規制当局は案の定ICOに疑いの目を向けている。だが各国は仮想通貨に対して異なった見方をしており、規制にあたって様々なアプローチがとられている。

 規制当局にとってICOはまだ新しい現象であるので、それらを管理規制する法律や規則はまだ準備中か公表されつつあるところだ。

ICO regulation approach

ICOを規制する準備をしているか既に規制している国

 国内でのICO事業のあり方についての決定を出している国がある。完全に禁止している国もあれば、従うべき規則や法律を定めた国もある。ここに一部紹介しよう。

中国

 中国のICOに対する見方は否定的で、昨年9月ICOの全面禁止を宣言している(中国では「9・4公告」と呼ばれている)。

 禁止令は中国人民銀行によって発せられており、すべての企業と個人を対象にしている。調達を実施済みの者に対して、資金を返金するよう命じるほど極端な禁止である。

韓国

 韓国は公式にICOを禁止している。韓国金融サービス委員会はこの決定について、詐欺や不正ICOの増大するリスクから投資家を保護することが目的であると説明している。

ロシア

 ロシアも仮想通貨とICOの両方に厳しいアプローチをとっている国である。ICOの規制に関しては法案は準備中であるものの、クレムリンはいくつもの命令を出し、アルトコインの登録、課税、証券関連法の適用を行っている。本格的な法律が今年3月までに定められることになっている。

オーストラリア

 オーストラリアはICOに対する本格的な規制を最初に定めた国の一つで、ICOに法令を順守させることと国民を保護する方針を明確にしている。オーストラリアの規制当局は昨年9月末に行動を起こし、オーストラリア証券投資委員会がルールを制定した。

 オーストラリアのアプローチは、イノベーションと新たな金融ビジネスモデルの発展を奨励しつつも、国内法令の枠内でICO事業を行うための明確なガイドラインを定めることである。この枠組みはICOにとって最終的にはポジティブなものであるが、国民を詐欺や不正ICOから守るため、既存の法令を順守が求められる。

英領ジブラルタル

 スペインのイベリア半島南端にある小さな英領ジブラルタルも、独自のICO規制を定める最新の国の一つになった。英領ジブラルタル政府とジブラルタル金融サービス委員会(GFSC)は、デジタルトークンの販売促進、販売、流通を規制する法案を準備中である。この規制案のキーコンセプトの一つは、「公認スポンサー」という新しい概念の導入である。公認スポンサーは「情報開示と金融犯罪関連のルールを遵守する責任を負う」とされる。

アブダビ(アラブ首長国連邦)

 アラブ首長国連邦の首長国のアブダビも、最近ICO規制の計画を発表した。発表によると、金融サービス規制庁(FSRA)が仮想通貨業界の関係専門機関や個人と協力する予定であるという。アブダビ・グローバル・マーケットは「仮想通貨は法定貨幣ではないが、商品やサービスの交換手段として世界中の関心を集めつつある」と述べ、仮想通貨に世界的需要があることを認めている。

米国

 米国における仮想通貨市場の大きさとICOの成長のため、政府、とりわけ米証券取引委員会(SEC)による迅速かつ厳しい規制の必要性が求められている。しかし、各国が異なるアプローチをとっているように、ICOの管理においては各州のやり方が異なっている。それでも、連邦機関としてのSECは、ICOは米国法における証券である、という見解を基本的に維持している。

 最終的に、全面禁止にはならないものの、ICOは証券とみなされるものを売る限り、SECによる登録と認可の対象となる見込みである。最近の米国上院の議論において、SECはICOをより厳しい規制対象とすることを示唆している。SEC委員長のジェイ・クレイトン氏は、これまでSECが確認してきたICOのトークンのすべてが、証券とみなされていると述べている。

現行法をもとに調整中の国

 多くの国がICOに対して何らかの反応をしており、少なくとも規制当局による監視が必要だと認識している。さらに一部の国は、どのようなアプローチをとるか検討しながら、ICOに対応するための政策を実施している。ICOは資金調達方法や証券としても新しいものであるため、政府はICOを既存の規則や法律の枠内で解釈しようとしている。

カナダ

 昨年8月、カナダ証券管理局(CSA)は、ICOは証券取引法の適用対象になると考えられるとの声明を発表し、トークンが証券の定義に該当すると主張した。特に、ICOを開始しようとする事業者に、実施前にCSAによる審査を受けるように呼びかけた。CSAはケースバイケースで検討するとしている。

 声明には「ICOを通じて資金調達を計画している事業者は、それが証券に該当するか検討しなければならない。所在地の証券管理局にコンタクトしてもらいたい」とある。

ドイツ

 ドイツも直接的にはICOの規制をまだ定めていない国だが、新たなICOが銀行法、投資法、証券取引法、支払いサービス監視法、目論見書法等の規制の法令に準拠することを望んでいる。ICOにはリスクがあるという警告を出すところまでは行っている。

 声明には、「法的要件と透明なルールの不在により、トークン発行者の身元、評判、信用状態の確認や投資の理解や評価において、消費者はすべてを自分一人でやらなければならない状態にある。ドイツ基準による個人情報の保護が適切に行われている保証も無い」とある。

シンガポール

 多くのICO事業者が中国や他のアジア諸国の状況を見て、シンガポールを本拠に選んでいる。シンガポールのアプローチは時折ガイダンスを発表することであり、独自のスタンスを発展させてきた。昨年11月、シンガポール金融管理局(MAS)はICOに関するガイドを発表し、コインは現行の証券関係法の下で扱わなければならないと述べている。

 シンガポールの最新のICO関係の発言では、ICOは禁止にはならず特段のリスクは感じられないとされている。MASは、ICOの発展と潜在リスクを詳しく分析している。「今のところ、シンガポールの仮想通貨取引を禁じるような強い主張は出ていない」と副首相は述べている。

EU(欧州連合)

 EU全体としては、ICOを現行法制に従わせようという議論に注目が集まっている。その主な流れは、マネーロンダリング防止と口座開設の際の顧客の身元確認を行う限り、EU圏内でICO事業は許されるというものである。だが、このカテゴリーの国の多くと同じように、欧州証券市場局は、ICOは投資家にとって高リスクであるという声明を出している。

ICOに対する警告を出している(だけの)国

 基本的に放任主義で、ICOの扱いについて警告かアドバイスを出しているだけの国は少ない。こうした自由主義的アプローチは、大半の例において、規制が実施される前の出発点であるように思われる。

日本

 日本は、2016年にビットコインを決済方法として認めるという大きな一歩を示した。しかし、ICOについては管理や規制に向けた目立った行動を行っていない。日本は投資家への警告を発しながら、ICO市場を静観しているようだ。金融庁も来るべき規制のため、国際的なトレンドを注視しているところだと認めている。

マレーシア

 マレーシア証券委員会は昨年9月に声明を発表し、ICOに関心を持つ投資家に対し委員会の警告に留意するよう呼び掛けた。マレーシアの管理当局はまた、投資家に「ICOの仕組みの潜在的リスクに注意」するよう警告している。

台湾

 台湾では金融監督管理委員会のウエリントン・クー委員長が10月にICO、ブロックチェーン、フィンテックについての声明を出しているが、これは警告ではなく、そのスタンスはポジティブなものだった。クー氏は、台湾政府はICO、ブロックチェーン技術、仮想通貨の発展と受容を支持し、それらを合法的なものとして扱う用意があると述べている。

英国

 英国はICOを許可しているが、ICOが自主規制により既存の金融関連法規に従うことを望んでいる。それに加えて、厳しい警告も発している。

 ファイナンシャルタイムズの報道によると、金融行為監督機構は、ICOは規制対象外であるため不正のリスクがあり、ICO発行者が投資家に提供する文書は「バランスを欠き、不完全で、誤解を招く」恐れがある、と述べている。