米規制当局の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の幹部は、仮想通貨の発行を目指すソーシャルメディアネットワーク企業に対して、マネーロンダリング対策などの法規制に従う必要があると発言した。

米ニューヨークで開かれたSIFMAアンチマネーロンダリグ・金融犯罪会議において、FinCENの副局長のジャマル・エルヒンディ氏が6日に発言した

同氏は、新しい価値を移転させるシステムにおいても、ほかの金融機関と同様のマネーロンダリング対策の原則と要件に従う必要があると強調した。

「仮想通貨の確立に焦点を当てたソーシャルメディアやメッセージングプラットフォームなどは、彼らが育てているかもしれない不正取引に目をつぶることができない」

エルヒンディ氏は、具体的な企業名は名指ししなかったが、フェイスブックが主導している仮想通貨リブラを想定した発言かもしれない。

同氏は、仮想通貨などの新たな支払システムの登場により、金融セクターが「進化の状態にある」と指摘。その上で、金融セクターがこれらの新興システムを選択するよう前進するのであれば、適切な保護と透明性を確保する必要があると語った。

「新興の金融機関がそのシステムをマネーロンダリングやテロ資金調達、制裁回避、人身売買および麻薬密売、その他の違法行為に対して耐性があるかどう、そしてその方法について判断を下すことになるだろう」

仮想通貨にもAML規制を

米規制当局の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)のケネス・ブランコ局長は11月に、仮想通貨の世界に対してもアンチマネーロンダリング(AML)の規制を厳格に適用していくと発言している

ブランコ氏は、FATFの「トラベルルール」は、デジタル通貨にも適用され、政府は仮想通貨企業がこれを順守することを期待していると述べた。トラベルルールとは、仮想通貨取引所など仮想資産サービスプロバイダー(VASP)に送金に関する顧客情報の収集と共有を求めるものだ。今年6月にマネロン対策機関FATFが仮想通貨業界にも適用するガイドラインを発表している

「疑わしい取引」に懸念

FinCENの12月の報告によれば、仮想通貨が関連するマネーロンダリングや犯罪収益関連の「疑わしい取引」の報告件数が米国で増加している。今年5月以降、仮想通貨取引所などからの報告件数は1万1000件にのぼった。

1万1000件のうち、約3分の2の7100件は仮想通貨取引所やP2P取引所、仮想通貨ATMに関係するものだという。

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