ブロックチェーン上の不正取引を追跡するチェイナリシスは2019年に犯罪組織から仮想通貨取引所に移されたビットコイン28億ドル(約3080億円)を追跡し、そのうち50%以上がバイナンスとフォビに移動していたと発表した

「チェイナリシス2020年仮想通貨犯罪レポート」の抜粋の中でチェイナリシスは、ビットコインのブロックチェーンの透明性を利用し、不正な手段で入手したビットコインを犯罪者はどこに移すかを調査した。送金先としてP2P取引所やギャンブルサイトなどが使われる一方、2019年は取引所が増加。とりわけバイナンスとフォビが多く、取引所全体の50%以上を占めた。

(出典:Chainalysis 「不正なビットコインを受け取った取引所」)

不正なビットコインを受け取ったバイナンスとフォビの口座のうち、トップ810口座が全体の75%以上となる合計8億1900万ドル以上を入金。チェイナリシスは、これらの口座は意図的にマネーロンダリング(資金洗浄)を行うOTC(店頭取引)業者と分析した。

OTCは、オープンな取引所で取引をしたくない利用者向けのサービスであり、個人の買い手と売り手を引き合わせる。大手取引所と関連するケースが多いが、大抵は独立系だ。チェイナリシスはマネロンの意図を持つ100のOTCを「ごろつき100(Rogue 100)」と命名。「ごろつき100」がひと月に受け取るビットコインの金額は、全体の1%に到達する時もあったという。

チェイナリシスによると、「ごろつき100」のうち70のOTCがフォビの口座グループに該当。32が先ほどのトップ810口座のグループに入り、20が2019年に不正ビットコイン100万ドル(約1億1000万円)を受け取っていたという。

一方、70口座のどれもバイナンス上では確認されなかったそうだ。

チェイナリシスは「ごろつき100」は氷山の一角であり、「不正資金を受け取ったバイナンスとフォビの口座のうち、不正OTCブローカーに属している口座がある可能性がかなり高い」と述べた。