米連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・J・ウォラー理事は、17日のスピーチで、米国が中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入に関して懐疑的な見方を表明した。しかし、ウォラー氏は典型的な仮想通貨懐疑論者というわけではない。CBDC不要論の理由の1つとして、民間部門でのイノベーション、特にステーブルコインの開発を挙げているからである。

Top Stablecoins by Market Capitalization | Source: Treasury Report on Stablecoins (Nov. 2021)

ウォラー氏はステーブルコイン開発にポジティブな見方をしているが、それでもステーブルコインを取り巻く3つのリスクを指摘している。

1つ目のリスクとして挙げたのは、規制されていないことだ。悪意ある発行者が粗悪な金融商品を提供し、それが投資家や預金者のパニックを引き起こし、金融を不安定化させるリスクを懸念する。

2つ目のリスクはステーブルコインの分散化された性質により、決済機能の責任がネットワーク全体に分散化され、決済システムの障害を引き起こす懸念だ。ウォラー氏は、これにより決済や清算に大きなバラつきをもたらす可能性があると指摘している。

3つ目に挙げるのは、ステーブルコイン採用における規模のリスクだ。単一の発行者によるメガステーブルコインが市場を独占してしまえば、競争のメリットを失い、消費者がネットワークから得る利益を減少させてしまう可能性があると、ウォラー氏は述べている。

ウォラー氏は、スピーチの中でステーブルコインの分散化された性質を称賛し、民間部門のイノベーションが活気に満ちた多様な決済システムを生み出してきたと話す。そして、こうしたイノベーションのため、「銀行を含むほかのシステムやプロバイダーと公平な場で競争できる機会を与える必要がある」と強調した。