アラブで3番目に裕福な国であるバーレーン王国は、米国の投資銀行JPモルガン・チェース と提携し、デジタル通貨決済の試験運用に取り組んでいる。

バーレーン中央銀行はこのほど、JPモルガンとアラブ・バンキング・コーポレーション(ABC銀行)と共同で、デジタル通貨のテクノロジーを基盤とする国境を超えた即時決済のソリューション導入のための試験運用計画に取り組んでいることを正式に発表した

この新しいデジタル通貨の試験運用は、決済処理にかかる時間の短縮を目的としており、バイヤーとサプライヤーとの間のバーレーンを振替元・振替先とする米ドルによる送金を対象としている。バーレーン中央銀行は、この共同プロジェクトの進展が中央銀行デジタル通貨へと拡大する可能性があることを強調している。

「私たちは、このJPモルガンとABC銀行との試験運用を通じて、従来の国際決済の分野に今も存在している非効率性と問題点に対処することを目指す」と、ラシード・アルマラジ バーレーン中央銀行総裁は述べている。

JP モルガンでホールセール・バンキング決済担当副会長を務めるアリ・ムーサ氏は、この新しい共同の取り組みでは、「オニキス(Onyx)」という同社のデジタル通貨に特化した部門が関与していることを言及している 。同部門は、17年にInterbank Information Network(INN)という名称で試験的に設立され、20年10月にはLiinkへと改名されている。

「JPモルガンのオニキスは、次世代の決済、ならびに決済インフラストラクチャ構築の先駆者となるという使命の下に設立されており、バーレーン中央銀行のような主要な中央銀行および規制当局と連携してその使命を主導してゆけることを嬉しく思う」 と、ムーサ氏は述べている。