マレーシアのパーム油評議会(MPOC)と、ブロックチェーン系スタートアップ「ブルームブロック」が提携し、サプライチェーン全体を追跡できるブロックチェーン基盤システムおよびアプリを構築した。生産者から最終製品に至るまでの透明性・正確性・信頼性を提供するという。食品・飲料系メディア「フードベブ・メディア」が3月25日に報じた。

フードベブ・メディアによると、テストが成功次第、現地アブラヤシ生産者(パーム油は、アブラヤシの果実から精製)・パーム油加工業者・プランテーション・家族経営による小規模農家に試験的に展開する予定。この仕組みは、マレーシアによる持続可能なパーム油(MSPO)認証基準の義務化を受けたもので、スマートフォンを使いアブラヤシと関連情報をシステムにアップロードすることでブロックチェーンに自動登録されるそうだ。利害関係者や最終顧客に対して、生産者から最終製品に至るまでの透明性・正確性・信頼性を提供する。

MPOCのダトゥク・ダル・カリアナ・サンドラム(Datuk Dr Kalyana Sundram)CEOは、次のように述べた。

「これは、我々のサプライチェーンに対する信頼を示すものだ。また、マレーシアが人々と地球を大切にしていることを世界に示している。このプラットフォームを開発し、ブロックチェーン技術による利点を実証することで、持続可能な農業を実践している人々がこの取り組みへの参加を奨励するよう願っている」

グリーンウォッシュ企業による森林破壊の根絶

近年環境保護団体などでは、自然環境への配慮を装いつつ実際には環境破壊を行う、あるいは配慮していると消費者を誤解させる訴求を行うことを「グリーンウォッシュ」と呼び始めているそうだ。グリーンウォッシュは、グリーン(環境配慮)とホワイトウォッシュ(whitewash。うわべを飾り立てる)をかけた造語だという。

この流れを受け、マレーシアにおけるパーム油関連産業の発展が、森林の違法伐採によるアブラヤシのプランテーション拡大に基づいている点が注目され、その持続可能性をうたう声が問題視されているそうだ。環境保護団体によると、パーム油生産者ラディアント・ラグーンは、マレーシアのサラクワ州において730ヘクタールの森林を破壊したという。同社は、ネスレ、ユニリーバ、モデレーズ、P&Gなどへのパーム油提供企業ダブル・ダイナスティと関係があるとされる。

またマレーシア政府は60以上の規制を導入し、森林管理を改善するとともに、森林減少ゼロに向けた様々な活動の推進を目指す。

パーム油関連業界は、マレーシアにおけるアブラヤシ総植栽面積は574万ヘクタールと主張している。世界の農地の0.11%相当にすぎないものの、世界の油脂輸出の20%を締めている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン