シンガポール拠点のビットコインマイニング企業ビットディア・テクノロジーズ・グループは5月15日、2025年第1四半期の売上高が前年同期比で41%減となる7010万ドルに落ち込んだと発表した。
同社の決算によると、第1四半期の営業損失は320万ドルで、前年同期の3410万ドルの黒字から大幅に悪化した。一方で、同期間の純利益は4億ドル超となり、これは2024年にステーブルコイン発行企業テザーに対して発行した転換社債およびワラントによる評価益が主因だという。
ビットディアの売上減少は、仮想通貨マイナー各社がビットコイン(BTC)マイニングから高性能コンピューティング(HPC)分野への転換を進めている業界構造の変化と重なる。
ビットディアの最高業務責任者であるマット・コン氏は、「自社マイニングの拡大とASIC(専用マイニング機器)開発計画の実行に加え、米国を拠点とするHPCおよびAIインフラの整備も進めている」と述べた。
ただし、マイナー各社はいまだに2024年4月に実施されたビットコインネットワークの半減期への適応に苦しんでいる。この半減期によってマイニング報酬は事実上半減し、収益構造に大きな影響を与えた。
ビットディアは、エネルギー効率の高い独自開発のビットコインマイニング機器の販売を通じて収益減を補おうとしているが、現時点では販売は立ち上がり途上であり、失われたマイニング収益を補うには至っていない。
自社マイニングの強化へ
同社は自社マイニングにも注力しており、自社のマイニング機器を用いてビットコインを直接保有する体制を強化している。
2025年末までには、自社マイニングのハッシュレートを40エクサハッシュ毎秒(EH/s)にまで引き上げる見通しだという。ハッシュレートとは、ビットコインネットワークを支える計算能力の指標だ。
「SEALMINERシリーズのマイニング機器が生産ラインから急速に出荷されており、世界中に豊富な電力供給能力があることから、当社の自社マイニングハッシュレートは急成長が見込まれる」とコン氏は述べた。
米国の規制当局への報告書によれば、テザーは2025年3月時点でビットディアの株式の21%を保有している。
また、ビットディアは米中貿易摩擦の長期化リスクに備え、米国内での事業拡大にも積極投資していると報じられている。