スターバックス前会長のハワード・シュルツ氏が、2020年の米大統領戦に出馬することを「真剣に検討している」と27日にツイートした。シュルツ氏は、デジタル通貨に対しては前向きであるもののビットコインには懐疑的な見方を示している。


「私は私達の国を愛し、私は真剣に中道独立派として大統領選への出馬を真剣に検討しています。」

シュルツ氏は、ニューヨーク・タイムズのインタビューに答えて、「両党とも、イデオロギーをつらぬくことに腐心しており、アメリカ国民の利害を代表するという認識と責任を果たしていない」と発言。「”独立”という言葉が、立候補にふさわしい」と語った。

 

(引用元:ABC 「著名人の出馬とあって米メディアも注目」)

 

民主党支持者からは批判の声 

ただ全国的に知名度の高いシュルツ氏が独立系として出馬することに対し、民主党から反対の声も上がっているという。

アメリカ進歩センター(Center for American Progress)所長で、ヒラリー・クリントンの政策アドバイザーを務めたニーラ・タンデン氏は「彼が立候補するなら、スターバックスをボイコットするわ」とツイート。民主党の票がシュルツ氏に流れることで、結果的にトランプ氏に有利に働くことから「トランプの勝利を手助けするような候補者の選挙資金となるお金は1セントたりとも払いたくない」と述べた。

また民主党から出馬を表明している元住宅都市開発長官のジュリアン・カストロ氏は、CNNの番組で、シュルツ氏の独立系としての出馬を「ドナルド・トランプに再選の大きな望みを提供する」と述べ、「それがもたらずネガティブな影響を心から考えて欲しい」と再考を促した。

仮想通貨に対する見方

シュルツ氏は2018年第1四半期のスターバックスの決算の中で、ビットコインを否定したもののデジタル通貨については前向きな見解を示した。同氏は、「今日、もしくは将来的にビットコインが通貨になるとは思わない」としつつも、「消費者に焦点を当てたブロックチェーン基盤のデジタル通貨の開発においてスターバックスが優位な位置にある」と強調した。

私は個人的には、ブロックチェーンを基盤にした信頼できるデジタル通貨が1つ、もしくは2、3現れると思っている。その正当性と信頼は、実店舗の中でブランドを持っている企業が導入することで獲得されるものだろう」

ビットコイン先物取引で市場が注目するインターコンチネンタル取引所のバックトは、スターバックスやマイクロソフトの提携も発表している。詳細は明らかになっていないが、スターバックスは、ビットコインでスターバックスのコーヒーが変えるわけではないという声明を出している。

その他の顔ぶれ

ジョン・マカフィー

仮想通貨強気派として知られ、何かと物議を呼ぶ発言や行動を繰り出すジョン・マカフィー氏(アンチウイルスソフトウェア、マカフィーの創業者)。2020年の米大統領選挙に仮想通貨コミュニティを代表して出馬すると以前から表明しているが、先日、米内国歳入庁(IRS)の追及を逃れるため、海外から出馬すると述べた。

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こちらは彼の「フリーダムボート」について説明した最新ツイートの一つだ。

エリザベス・ウォーレン

民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員も大統領選に出馬する意向を表明している。ウォーレン氏は、仮想通貨やICOに懐疑的な人物として知られており、詐欺的なICOで仮想通貨ユーザーが損害を負う可能性があると繰り返し懸念を表明してきたほか、仮想通貨は「簡単に盗める」とも発言している。

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ただ、同氏が25日に提案した超富裕層への増税案は、逆に仮想通貨業界へ追い風になるのではないかという見方が出ている

「超富裕層が我々の経済と我々の税制を不正に操作している。構造的な変化が必要だ。だから新しい提案をする。トップ0.1%に対して年間の富裕税を課税する。新しい歳入として3兆ドルの調達が可能で、中間層の再構築のために投資できる。やってやろう」

中国の富裕層は、税金を逃れるためにマイニング業者への投資などからビットコインなどを購入する例があるという。実際、ウォーレン議員の発表を受けて、デジタル・ギャラクシーのマイク・ノボグラッツ氏やカルダノ創業者、チャールズ・ホスキンソン氏から批判の声が出ている。ちなみに両者とも、フォーブスが選んだ「仮想通貨富裕層」に入っている。