米国の規制当局からの訴訟と手数料ゼロ方針の停止を受け、仮想通貨取引所バイナンスの取引高ベースでの市場シェアが低下している。

ブロックチェーン分析プラットフォームKaikoの4月4日付ニュースレターによれば、バイナンスが「取引高での市場シェアを16%失った」ことにより、同社の市場シェアは2023年第1四半期末時点で54%になっている。

米商品先物取引委員会(CFTC)は3月27日、バイナンスが必要な登録をせずに米国の顧客向けにサービスを提供することにより、デリバティブ規制に違反していたとして、バイナンスを告発した

Kaikoによれば、バイナンスは競合他社を合算したよりも多くの取引高を獲得しているが、3月15日にスポット取引と信用取引で手数料ゼロを廃止する決定が、同社のシェア喪失の大きな要因となったという。これには、BNB(BNB)、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)のトレーディングペアを含む13のトレーディングペアが含まれる。

「全体として、ゼロ手数料取引の終了とともに、バイナンスの過剰な取引量は大幅に減少し、残りの取引所間で市場シェアが均等に分散された」とKaikoは報告している。

Binance’s market share trading volume amongst the top centralized exchanges fell to 54% by the end of the first quarter. Source: Kaiko

この低下の一部は、米国の子会社であるバイナンスUSが、前四半期にわたって市場シェアを8%から24%に3倍に増やすことで緩和されたとKaikoは説明している。

またバイナンスはすべての分野で大きくシェアを落としたわけではなく、過去四半期にわたってデリバティブ取引ではそのシェアの大部分を維持し、市場シェアをわずか2%失っただけだった。

Kaikoによれば、取引高の低下は、CFTCの告発よりもスポット取引での手数料ゼロ終了による影響が大きかったという。

「デリバティブの取引量を見ると、傾向はかなり異なっている。バイナンスは永久先物取引量の市場シェアを約2%しか失っていない。これは、市場シェア喪失の大部分が、訴訟に対する懸念よりも、スポット取引での手数料ゼロの終了によるものであることを示唆している」

市場シェアが54%に低下したことは、バイナンスが2022年第4四半期にFTXを巡る混乱によって取引量の市場シェアが65%に上昇した「大勝利者」の1つであったことの反動でもある。

「2022年11月以降、バイナンスの市場シェアは50%から65%に上昇し、一方でOKXの市場シェアは10%未満から17%に上昇した。Bybitと3つの小さな取引所Huobi、Bitmex、Deribitは、市場シェアが減少した」という。

 

直近の四半期には、Kaikoが分析した17の取引プラットフォームのうち、Upbitが取引量で「大きなシェア」を取り戻した唯一の仮想通貨取引所だった。