先週末に発生した仮想通貨市場での190億ドル規模の清算イベントを受け、投資家の間で意見が割れている。一部ではマーケットメイカーによる協調的な売り浴びせを指摘する声がある一方で、アナリストの中には自然なレバレッジ解消のサイクルだとみる向きもある。
DefiLlamaのデータによると、先週金曜に発生したフラッシュクラッシュにより、分散型取引所(DEX)の永久先物の建玉残高は260億ドルから140億ドル以下へと急減した。
また、仮想通貨レンディングプロトコルの手数料収入は過去最高となる1日あたり2000万ドルを突破し、DEXの週間取引高も1770億ドルを超えた。レンディングプラットフォーム全体での借入残高も8月以来初めて600億ドルを下回った。
一部アナリストは「自然な市場リセット」と分析
複数のトレーダーが、プラットフォームの不具合や大口投資家の動きによって引き起こされた調整だと指摘しているものの、ブロックチェーンデータはその大半が自然発生的な清算であったことを示している。
ブロックチェーンデータ分析プラットフォームのクリプトクオントのアナリスト、アクセル・アドラー・ジュニア氏によると、金曜の急落では建玉残高が140億ドル減少したが、そのうち少なくとも93%は「制御されたレバレッジ解消」であり、「連鎖的な清算ではなかった」という。
このうち、実際に清算されたビットコイン(BTC)のロングポジションは10億ドル規模にとどまり、「ビットコイン市場における非常に成熟した局面を示した」とアドラー氏は火曜のX投稿で述べた。
「流動性の真空」を作ったとの批判も
ただし、全員がこれを単なる機械的な現象とみているわけではない。市場関係者の中には、主要マーケットメイカーが重要な局面で取引所から流動性を引き上げ、相場崩壊を助長したと主張する者もいる。
ブロックチェーンアナリストのYQ氏によると、オーダーブックのデータを見ると、マーケットメイカーが「流動性の真空」を生み出し、調整を悪化させたという。
彼の分析によれば、マーケットメイカーは金曜午後9時(UTC)に流動性の引き上げを開始した。これは、トランプ大統領が関税を発表してから1時間後のことだった。
午後9時20分(UTC)には多くのトークンが底値をつけたが、追跡対象トークンの市場深度はわずか2万7000ドルにまで落ち込み、98%もの急減を記録したとYQ氏は月曜のX投稿で述べている。
ブロックチェーンデータプラットフォームのコインウォッチも、世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスで市場深度が98%崩壊したことを指摘した。
「トークン価格が急落した際、2つの主要マーケットメイカーはいずれもオーダーブックからすべてを引き上げた。1時間半後、(上図の)ブルーのマーケットメイカーはボットを再稼働し、以前と同程度の流動性供給を再開した。一方、ターコイズでのマーケットメイカーはわずかに残っているだけだ」とコインウォッチは日曜のX投稿で述べた。
同社はさらに、バイナンスに上場する時価総額50億ドル超のある特定のトークンでも、3社中2社のマーケットメイカーが「5時間にわたり職務を放棄していた」と指摘。コインウォッチは現在、両マーケットメイカーと協議を行い、「オーダーブックへの早期復帰を促している」としている
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