米証券取引委員会(SEC)の違法ICOに対する規制監督が行き詰っている可能性がある。米有力紙ウォールストリートジャーナルが14日にレポートしている。

米SECは、未登録でICOを実施した企業に対して、罰金と投資家への調達資金の返還という条件で和解を結ぶ方法を取ってきている。低い罰金を科す代わりに、企業に対してSECの規制に準じるよう求める方法だ。

しかし、WSJの報道によると、投資家への資金返還などの和解条件を満たせないケースが複数発生している。

昨年11月に和解を結んだエアフォックスと、パラゴン・コインは、今年10月に設定されていた投資家への資金返還を行うことができなかった。また仮想通貨企業グラディウス・ネットワークのケースでも、投資家に払い戻しを決定するために必要な情報提供が5ヶ月以上遅延しているという。

エアフォックスとパラゴン・コインは昨年11月の和解で、25万ドルの罰金支払いと投資家への資金返還で同意。その引換えとして詐欺罪での告発を免れていた。

エアフォックスとパラゴン・コインは、投資家への資金返還の期限を12月28日にまで延長したとしており、グラディウスも当初5月20日とされていた期限を11月18日にまで延長しているという。

WSJはこれらの企業が、投資家に返還するための資金が十分にない可能性があると指摘している。

調達資金を全額返還するとなれば、エアフォックスの返還額は最大1540万ドルとなるが、WSJによれば、同社の流動資産は610万ドルしかない。またパラゴンの財務状況はもっと厳しく、9万5000ドルの流動資産に対して1490万ドルの流動負債を抱えている。

非現実的な解決策

元SEC法律顧問のマイケル・ディック氏は、SECが取っている和解戦略は現実的ではないと、WSJにコメントしている。

「私は、今では非現実的だと考えている。なぜなら、多くのプロジェクトは、購入者に伝えたとおり、プロジェクトを構築するために資金を使っているからだ。…この種の救済策は、発行者が返済できる場合にのみ有効だ」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン