最近、様々なマネーの形が出現している。
6月18日にフェイスブックがリブラ(Libra)のホワイトペーパーを公開。2ヶ月後には仮想通貨取引所大手のバイナンスが「地域版リブラ」と位置付けるヴィーナス(Venus)を発表した。一方では、日本の仮想通貨取引所が電子マネーやポイントの業者と提携し、新たなマネーの形を模索し始めた。もちろん円やドルなどの法定通貨も存在したままだ。
我々は、どのようにマネーを使い分けるのだろうか?
リブラをはじめブロックチェーン関連技術に詳しいコンセンサス・ベイス代表取締役の志茂博氏にコインテレグラフ日本版が聞いた。
コインテレグラフ:リブラとヴィーナスの住み分けをどう見ているか?
志茂氏:現時点でVenusの情報が少ないため断言できないが、世界規模の会社のサービスで使われるか、地域に根ざしたサービスになるか、というのが主な棲み分けとなるだろう。
限られた情報の中では、Venusの目的は、「金融包摂ではないこと」「クレジットカードの代替を目指している」のも違いである。これを踏まえると、Libraはグローバルでのオンライン決済や個人間の国際送金、ゲームなどに幅広に使える通貨になり、Venusは、バイナンスが営業している国の法定通貨に価値が紐づいて、特定地域でのオンライン決済、ローカルな個人間送金、店舗決済などに使われるのではないかと考えている。
コインテレグラフ:リブラとかヴィーナスの登場で、現在日本で普及するキャッシュレスサービスは淘汰されるか?
志茂氏: 現金使用率が高い日本においては、交通系電子マネーやオンライン決済など一部のキャッシュレスサービスにおいて、Libra, Venusが決済手段の1つとして既存の電子マネー等と併用されることも考えられる。しかし、今後の法的な位置付けによってはLibra購入に本人確認等が必要となる可能性があり、ユーザ数や利便性の向上には多くの課題が存在する。
Libra, Venusの長期的なインパクトは未知数だが、これらを踏まえると、すぐにキャッシュレスサービスを置き換えるには至らないのではないだろうか。
コインテレグラフ:ディーカレットが電子マネー業者、ビットフライヤーがポイント業者との連携を発表した。「電子マネー」、「ポイント」、「電子マネー×仮想通貨」、「ポイント×仮想通貨」、「法定通貨」、「ステーブルコイン」が乱立する様相を呈しているが、どのように整理しているか?共存するか、それとも勝者は絞られるか?
志茂氏:ステーブルコインの日本における法的扱いは未定であるものの、それぞれの電子マネーやポイント、ステーブルコインは目的や法的位置付けが異なり、必ずしも対立関係には無いことから、用途に応じて併用されるものと考えている。
例えば、電子マネーは決済プロセスの効率化、ポイントシステムはマーケティングや顧客データの収集等を目的としており、WAONカードとWAONポイントのように併用されるケースも多い。システムの観点でも、特定の企業・グループが管理する電子マネーやポイントと、ステーブルコインとでは全く性質が異なっている。
これを踏まえると、特定の価値媒体があらゆる場面で使われるのではなく、複数の価値媒体が用途や法的制約に応じて使い分けられるのではないだろうか。
今回のbitFlyerやディーカレットの発表は、これらが法定通貨を介さず、直接的に価値交換できるようになったという点でインパクトがあるが、お互いの領域を侵食するものではないだろう。
インタビューは一部編集されています。