新型コロナウイルスで世界経済が一変した後もゴールドマンサックスはビットコイン(BTC)に対する意見を変えなかった。
5月27日の顧客向けのウェブキャストの中で、ゴールドマンサックスはビットコインは資産クラスとして適切ではないという見解を示した。著名ヘッジファンドマネジャーであるポール・チューダー・ジョーンズ氏に続くかどうか注目されていたが、マーケットが注目するビットコインのインフレ耐性についても「証拠がない」と結論づけた。
しかし、ゴールドマンサックスの判断にマーケットは動揺しなかった。過去24時間でビットコインは2%以上上昇して、9000ドルを回復。米仮想通貨投資ファンドのグレイスケールのデータが示すように、機関投資家のビットコインへの関心は日に日に高まっている。
また、人民元安も追い風になっているようだ。
(出典:Coin360 日本時間5月28日午後5時30分)
ゴールドマンサックス 路線変更なし
「米国経済の展望と現在の政策がインフレ、金(ゴールド)とビットコインにとって意味すること」
突如、5月23日にゴールドマンサックスのホームページに表れた上記のウェブキャストのお題から、ゴールドマンサックスも新型コロナを受けてビットコインに対する見方を変えるのか?という期待が高まった。
伏線はあった。
米国投資業界のレジェンド的な存在であるポール・チューダー・ジョーンズ氏によるビットコイン投資参戦だ。「グレート・マネタリー・インフレーション」を理由にポートフォリオの約2%をビットコインで保有していることを明らかにしていた。仮想通貨業界からは、「平均的なマネーマネジャーの投資心理を変える」という評価の声が上がっていた。
しかし、蓋を開けてみれば、ビットコイン懐疑路線への変更は変わらなかった。仮想通貨のボラティリティ(変動幅)の高さや他の資産クラスとの相関関係が不安定であること、インフレのヘッジとして機能するという証拠がないことを理由に「資産クラスとして適切で無い」と結論づけた。
機関投資家のビットコイン需要は上昇
米国のプロの投資家全般とゴールドマンサックスの意向は必ずしも一致しないようだ。
ビットコイン信託などで有名なグレイスケールは、機関投資家の需要を背景に5月12日の半減期以降で1万8910BTCを購入。投資家のケヴィン・ルーク氏によると、半減期以降で新たにマイニングされたビットコインが1万2337BTCだ。
Grayscale's Bitcoin Trust bought 18,910 Bitcoins since the halving.
— Kevin Rooke (@kerooke) May 27, 2020
Only 12,337 Bitcoins have been mined since the halving.
Wall Street wants Bitcoin, and they don't care what Goldman Sachs has to say. pic.twitter.com/Br6a4ijuze
ルーク氏は「ウォール街はビットコインを欲しがっている。ゴールドマンサックスが何を言っても気にしない」と分析した。
人民元安急落でビットコイン上昇
中国の人民元は28日こそ小幅高で終了したが、27日まで米中対立の激化を背景に下落基調にあった。
人民元安とビットコイン高に連動性があることは兼ねてから指摘されている。
ビットメックスのアーサー・ヘイズ氏によると、2015年に人民元安が進んだ時、ビットコインのパフォーマンスが上昇した。現在は中国の仮想通貨取引所の運営が禁止されているため、当時とは一概には比較できないが、「OTC(店頭)取引は活況であり、政治的に許容される方法で買い手と売り手を中国で引き合わせている」ことから中国市場のビットコインに対する影響力は未だに健在だ。
人民元安が急速に進めば、避難通貨としてビットコインを選ぶ動きが出てきてもおかしくない。