米国拠点のスタートアップ企業ボールトテル(VaultTel)が、スマートフォンのSIMカードトレイに収納する仮想通貨用小型ハードウェアウォレットを発表した。軍用グレードの暗号化規格AES 512によるデータ暗号化を行い、ウォレットへのアクセスにはパスワードと生体認証を利用する。3月6日の同社プレスリリースによって明らかになった。

発表された製品は、「ボールトテル アプリ」というスマートフォンアプリと、ハードウェアチップの「ボールトテルカード」で構成されている。米国では本日から発売し、EUではイギリス子会社を介してまもなく発売予定としている。

プレスリリースによると、軍用グレードの暗号化規格AES 512によるデータ暗号化を行い、ウォレットへのアクセスにはパスワードと生体認証を利用するとしている。さらに、オプションとして、特定のスマートフォンのみウォレットにアクセスできるようにする「デバイス・ロック」機能、位置情報を使い特定の場所のみでアクセス可能となる「ジオフェンシング」機能も用意する。

仮想通貨の保管時には、(デュアルSIM対応アンドロイド・スマートフォンの場合)まずユーザーはSIMカードトレイにボールトテルカードをセットするか、スマートフォンにドングルと呼ばれる小型機器を接続する。その後、ボールトテル アプリでボールトテルカードにアクセスを行うことになる。

スマホ業界も仮想通貨に注目

1月開催の世界最大級の技術展示会「CES」、また2月には携帯通信関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス2019」が開催されたこともあり、スマートフォン関連で仮想通貨およびブロックチェーンに関連する発表が相次いでいる

韓国のサムスンは2月、最新のスマートフォン「ギャラクシー(Galaxy)S10」が仮想通貨ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、COSMEEのトークン(COSM)、エンジンのトークン(ENJ)をサポートするウォレット機能を搭載していることを明らかにした

同じく2月、台湾のスマートフォンメーカーHTCは、ブロックチェーン・スマホ「エクソダス」が、ウェブブラウザの「Opera」を搭載し、複数の分散型アプリ(Dapps)をサポートすると発表した

また、電子決済企業エレクトロニウム(Electroneum)も、仮想通貨マイニングを行えるスマートフォン「M1」の発売を発表した。ユーザーは、同社独自の仮想通貨エレクトロニウム(ETN)のマイニングし、ショッピング、オンラインサービス、通話料金・データ通信料金の支払いなどに利用できる。

1月には、仮想通貨のハードウェアウォレットを手掛けるレジャー(Ledger)が、最大100個の異なる仮想通貨を管理できる、Bluetooth接続のハードウェアウォレット「Ledger Nano X」を発表した。1月後半には、 Nano Xと組み合わせて利用できる、アンドロイド用およびiOS用スマートフォンアプリ「Ledger Live」をリリースした。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版
原文 US Startup Introduces Crypto Hardware Wallet Chip for Cell Phones