米国の証券取引委員会(SEC)は、仮想通貨プレックスコインを発行する米プレックスコープスのオーナー、ドミニック・ラクロワ容疑者の資産を凍結する裁判所命令を取り付けた。クラウドファンド・インサイダーが20日に報じた。SECは昨年12月、プレックスコープス社が1ヶ月で約1300%のリターンを謳ったICOを通して個人投資家等から約17億円をだまし取った疑いがあるとして、同社の資産凍結を発表。このICOを通して「数千人の投資家」から1500万ドルの資金を調達したと報じられている。

 SECによると昨年12月以来、ラクロワ容疑者は、兄名義の銀行口座などを秘密裏に開設してプレックスコインのICOで投資家から受け取った資産を分散していた。SECは、同容疑者に罰則を科すほか、資産の差し止めやデジタル証券発行の禁止措置などを施す予定だ。

 詐欺的なICOに対して米金融当局は取り締まりを強化している。先月にSECは、チタニウム・ブロックチェーン・インフラストラクチャー・サービス社のICOを停止させる裁判所命令を取り付けた。チタニウム・ブロックチェーン・インフラストラクチャー・サービス社は、FRBやボーイング、ウォルト・ディズニーなど取引企業との関係に関して虚偽の説明を行って国内外の投資家から2100万ドルを調達したという。また同じ先月に、仮想通貨ベンチャーのセントラ・テックが詐欺的なICOを行なったとして訴追された。セントラ・テックは、ビザカードやマスターカードと提携して仮想通貨のデビットカードを発行するといった虚偽の情報を流して投資家を欺き、2017年に3200万ドルの資金調達をした伝えられている。

 さらにICO自体に対してSECがさらに規制を強化するのではないかという観測も出ている。今週に入ってマカフィーアンチウイルス・ソフトウェアの創業者で、有名な仮想通貨支持者であるジョン・マカフィー氏がTwitterで、「SECの脅迫を理由ICOにはもう関わらない」と発言。また米シカゴ・オプション取引所(CBOE)グローバル・マーケッツのコンキャノン社長は、ICO市場はすぐに「審判の日」を迎える可能性があると警告した