ロシアのプーチン大統領の顧問が、米国が戦略的に仮想通貨と金を利用し、自国の債務を減価させ「低下するドルへの信認に対処しようとしている」と発言した。
アントン・コビヤコフ氏は9月8日、ロシア・ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムの記者会見で次のように述べた。
「米国はいま、金と仮想通貨市場のルールを書き換えようとしている。彼らの債務総額は35兆ドルにのぼる。これら2つの分野(仮想通貨と金)は、従来の世界通貨システムの代替手段にほかならない」
コビヤコフ氏はさらに「1930年代や1970年代と同じように、米国は世界の犠牲の上に自らの金融問題を解決しようとしている。今回は世界を『仮想通貨クラウド』に追いやろうとしている」と付け加えた。
同氏によれば、米国政府は自国の債務を米ドル建てステーブルコインに移行させることでそれを減価させ、「ゼロから再出発」しようとしているという。ただし、ステーブルコインがどのように債務を減価させるのかについては具体的な説明はなかった。
この戦略の一環として挙げられているのが、シンシア・ルミス上院議員の「ビットコイン法案」である。この法案は、政府が今後5年間で100万ビットコインを購入し、20年間保有することを提案しており、未償還の連邦債務の返済に充てる場合を除いて売却しないとされている。
米財務省のデータによれば、米国の国債残高は37.43兆ドルに達しており、1981年以降で10倍以上に膨れ上がった。1981年以前の33年間は3.3兆〜3.66兆ドルの間で推移していた。
米国のステーブルコイン政策
一方で米政府関係者によれば、ステーブルコインの焦点は米ドルを世界の基軸通貨として維持することにあるという。ベッセント財務長官は3月、「我々はその目的のためにステーブルコインを使う」と述べた。
また、ポール・ライアン元下院議長は2024年7月に「ドルに裏付けられたステーブルコインは米国債への需要を生み、入札失敗やそれに伴う危機のリスクを軽減する」と語った。さらに「ドル建てステーブルコインは米国債への需要を提供し、中国に対抗する手段となる」と指摘した。
その後、トランプ大統領は7月にステーブルコイン規制枠組みをまとめたGENIUS法に署名した。
ロシアのステーブルコイン構想
一方、ロシアも独自のステーブルコイン計画を進めている。6月には、ロシア・ルーブルに裏付けられた新たなステーブルコイン「A7A5」がトロン上で立ち上げられる予定だとメディアが報じた。
これは、ロシアが中国やインドとの原油取引に利用してきた米ドル建てステーブルコイン のテザー(USDT)への依存を減らす動きとみられる。
ロシアは2022年に仮想通貨による支払いを禁止していたが、近年は姿勢を軟化させており、2025年5月には金融機関による認定投資家向けの仮想通貨関連商品の提供を認めている。
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