米国のトランプ大統領は7月18日、政権発足後初となる仮想通貨関連法案のひとつ「米国におけるステーブルコインの国家的イノベーションの指導と確立(GENIUS)法」に署名した

署名式には、JD・ヴァンス副大統領やマイク・ジョンソン下院議長をはじめとする多数の共和党幹部とともに、仮想通貨業界の経営者も多数出席した。

クラーケン共同CEOのデイビッド・リプリー氏、ジェミナイ共同創業者のウィンクルボス兄弟、コインベースCEOのブライアン・アームストロング氏、サークルCEOのジェレミー・アレール氏、テザーCEOのパオロ・アルドイノ氏、ロビンフッドCEOのブラディミール・テネフ氏らの姿もあった。

トランプ氏は準備された原稿を読みながら、次のように語った。

「仮想通貨コミュニティは、長年にわたり嘲笑され、無視され、排除されてきた。ほんの1年半前まで見放されていたが、今回の署名は皆さんの努力と先駆的精神に対する証明となる」
Cryptocurrencies, Law, Donald Trump, Stablecoin
GENIUS法に署名するトランプ大統領 Source: Associated Press

米証券取引委員会(SEC)委員長のポール・アトキンス氏は声明で次のように述べた。

「ブロックチェーンおよび仮想通貨資産の技術は、米国の金融インフラを根本的に変革し、新たな効率性、コスト削減、透明性、そしてリスクの軽減をもたらす可能性がある。米国が投資とビジネスにおいて最も安全で魅力的な場所であり続けるには、市場参加者が自信をもって新興技術を採用できる明確なルールが必要だ。」

トランプ氏は署名式、アトキンス氏の前任であるゲーリー・ゲンスラー氏を自ら解任したと強調。さらにトランプ氏は、自身の政権が今年1月以降に仮想通貨業界の要求に応えてきた取り組みを紹介。シルクロード創設者ロス・ウルブリヒト氏への恩赦、国家ビットコイン準備金の設置、アトキンス氏をSEC委員長に指名したことなどを挙げ、「2024年の選挙における票を意識していた部分もある」と率直に語った。

2つの仮想通貨法案は上院へ

GENIUS法は、共和党が8月の議会休会前に進展を見込んでいた3法案の1つだ。

このほか、下院はデジタル資産市場の明確化を図る「CLARITY法」と、中央銀行デジタル通貨(CBDC)による監視社会化を防ぐことを目指す「反CBDC監視国家法案」を可決。いずれも超党派の支持を得て上院に送られることとなった。

ただし、上院では一部民主党議員がこれら2法案に反対する見通しとなっている。反対派は、トランプ大統が、自身の家族が関与する仮想通貨企業ワールド・リバティ・ファイナンシャルから利益を得ている点や、就任前に自身のミームコインを発行していた点、署名式に出席した仮想通貨業界関係者が大統領選で大口献金した点などを問題視している。

こうした反発にもかかわらず、「CLARITY法」には下院民主党から78人が、「GENIUS法」には100人超が賛成票を投じた。これに対し、反CBDC法案への民主党の賛成はわずか2人にとどまっており、上院での審議ではこの法案が最も脆弱と見られている。

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】

仮想通貨, 法律, Donald Trump, ステーブルコイン