2017年まで商品先物取引委員化(CFTC)で委員長を務めたティム・マサド氏は、米国が決済システムを近代化するプランを策定するのが遅すぎると語った。

マサド氏は、政府におけるデジタル資産の役割に関する合同経済委員会の公聴会で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)が米国の既存の「遅くて」「高い」と批判される決済システムを改善するための1つのソリューションになる可能性があると語った。またマサド氏は、ステーブルコインをこの目的で活用することもできると述べたが、ステーブルコインが持つリスクについてもコメントした。

テザー(USDT)のようなステーブルコインを使用して取引所間で資金を移動させている人々がいることは、米国の決済システムを近代化させる必要があることを示す例だと、マサド氏は指摘する。

しかし、ステーブルコインの発行者が準備金をドルのような「安全性の高い流動資産」に投資していない可能性や、従来の金融機関の資金のように保険が掛けられていない問題があると付け加えた。

マサド氏は「銀行のような」規制を採用するだけでなく、預金保険の必要性を排除するためにも発行者が融資を行うことを防ぐべきだとコメントした。

「CBDC、ステーブルコイン、デジタル資産は、一般的に金融包摂を達成するための手段として引用されるが、私たちはそれを実現するポテンシャルを検討する必要がある」と、マサド氏は述べている。「私たちは今、金融サービスへのアクセスを改善するために行動する必要がある。そのニーズは非常に大きい」。

同じ公聴会に出席したコインセンターのリサーチディレクター、ピーター・ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は、ステーブルコインは仮想通貨の世界の中で「興味深いエリアだ」と語ると同時に、発行者の規制が明確になっていないことに懸念を表明した。「明らかに法律に違反しているステーブルコイン発行者も存在する」と、ヴァルケンバーグは付け加えた。

マサド氏やヴァンケルバーグ氏の発言は、米国内でのステーブルコイン規制を巡る動きとも一致するものだ。金融市場に関する大統領ワーキンググループは、米国内のステーブルコイン発行者について銀行と同様の規制の対象にするべきだと主張している。同ワーキンググループは、ステーブルコインがもたらすリスクに対処するため、早急な対応が必要であるとの報告書を今月はじめに公開している。