米財務省のジャスティン・ミューズニッチ副長官は、分散型デジタル通貨によって、政府が担っている通貨発行機能の一部が民間部門にシフトする可能性があると指摘した。

11月21日にニューヨークで開かれた「BPI2019」で講演した。ミューズニッチ副長官は、金融規制改革、経済制裁と国家安全保障、そしてデジタル通貨に関する問題について語った。

ミューズニッチ氏は、仮想通貨がマネーロンダリングなどの違法行為に使用される可能性について懸念を表明。この懸念は米財務省などの規制当局が従来から指摘している問題点だ。

「財務省の最重要課題の1つは、課税、マネーロンダリング防止、テロ資金供与対策といった既存の規制枠組みを回避するため、デジタル通貨が使用されることだ」

一方でミューズニッチ氏は、財務省はイノベーションを重視しており、効率性の向上を歓迎するとも発言。しかしデジタル通貨によるイノベーションには「非常に注意深く見る必要がある」と強調した。

同氏は、民間企業によるデジタル通貨発行は、政府が伝統的に担っていた通貨発行機能が民間部門にシフトすることになる可能性があると語る。

「分散型の民間発行のデジタル通貨は、単なる支払い手段ではなく、その構造によっては、政府が伝統的に実行していた機能の一部を民間部門にシフトさせる可能性がある。巨大なデジタル通貨は、マネーロンダリング、金融政策といった具体的なトピックだけでなく、ガバナンスに関する非常に高度な問題も提起することになる。したがって、デジタル通貨マーケットに関与する人々は、政策立案者が公共の利益の観点からこれらの問題を非常に注意深く見ていることに留意しなければならない」。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン