ビットコインを外貨の一種として認めることは、米国防総省の新規職員採用の決定に影響を及ぼす恐れがある。ブルームバーグが22日に報じた。

 国防総省の主な関心は、仮想通貨への投資が犯罪の意思を意味しているのか、あるいは危険な行動を引き起こす傾向を増加させる一因なのかという点にある。仮に国防総省がセキュリティークリアランス(秘密取扱者適格性確認)の際にこの点を考慮すれば、仮想通貨への投資は就職希望者にとって不利となる恐れがある。

 国防総省は現時点では、仮想通貨の保有に関するガイダンスを作成していない。同省は、財務省や証券取引委員会(SEC)などの機関から仮想通貨に関する法解釈が示されるのを待っている状態だという。国家安全保障関連の組織は何らかのセキュリティークリアランスのために400万人以上を追跡する必要がある。

 ブルームバーグが指摘しているように、デジタル通貨を保有している就職希望者の詳細な調査は、サイバースペースにおける活動の拡大を目指す国防総省の取り組みの妨げとなる恐れがある。連邦情報セキュリティ管理最高責任者のグレゴリー・タウヒル氏は次のように述べている。

「ビットコインなどのデジタル通貨の口座を所有している場合、セキュリティークリアランスにおいて警告や危険信号となる恐れがあると我々が言うつもりだとすればどうなるか。彼らは、政府関係の職に就職しようとじっと座って待っているようなことはしない。そうなれば処理しきれない仕事がかなり増えるだろう」

 仮想通貨の保有が正当なリスク要因となるのかどうかについては専門家の間でも意見が分かれている。米国科学者連盟のスティーブン・アフターグッド氏は、政府が「何が原因で人が実際に危険人物になるのかをはっきりと理解している」かどうかは疑問だと述べている。また、一般的に国家安全保障関連の組織が問題視する薬物使用や借金などの要因は、必ずしも正確なリスク指標とは言えないと述べた。

 一方、カリフォルニア大学の国際コンピュータ科学研究所の研究者ニコラス・ウィーバー氏は、国防総省は仮想通貨の投資家を詳しく調査する権利があると話す。同氏はこれまで何度も議論されてきたように「ビットコインは薬物などを購入するための唯一の現実的手段で、疑って当然だ」とする持論を繰り返した

「仮想通貨を売らずに保有している人たちは、セキュリティークリアランスをパスするだろう。彼らは単なる投機家にすぎないからだ。完全に妄想にとりつかれた投機家の場合は、果たして本当にこのタイプの人物を政府職員として雇いたいだろうか?」