米議会、仮想通貨巡り分裂 「規制は余計なもの」か「仮想通貨はホラ話」か

 米議会の資本市場・証券・投資小委員会が14日、米国における仮想通貨、デジタル通貨、イニシャル・コイン・オファリング(ICO、新規仮想通貨公開)およびブロックチェーン開発の将来について議論するため開催された。

 議事の過程を通じて、4人の仮想通貨とブロックチェーン業界の専門家たちは、米国政府による規制のさらなる明確化が必要であるという点で多かれ少なかれ一致していることが明らかになった。しかし異なる党派や広範なイデオロギーを代表する同委員会メンバーは、非難から手放しの激励まで、様々な立場を示した。

 開会挨拶の後、同委員会のメンバーは専門家らに、現在の規制や規制機関(商品先物取引委員会(CFTC)や証券取引委員会(SEC)など)の有効性から、サイバーセキュリティやICOの性質に渡る議題について質問した。仮想通貨やブロックチェーンに馴染みのなかった議員は、専門家の助けでこれらの言葉について頭の整理になっただろう。

 委員会に証人として出席した専門家らは、様々な分野の法律専門家で構成されていた。コインベースのマイク・レンプレス最高法務・リスク管理責任者、ジョージタウン大学のクリス・ブラマー教授、仮想通貨やブロックチェーン企業を専門とするウィルソン・ソンシーニ・グッドリッチ&ロサーティ法律事務所パートナーのロバート・ローゼンブラム氏、コインセンターで「仮想通貨法律家」を自称するマイケル・ヴァン・ヴァルケンバーグ調査部長だ。

 下院委員会の公聴会の形式に従い、各証人は5分間の声明を許可され、その後議員がそれぞれ5分間の独自の質問セッションを進めた。

「仮想通貨規制はいまだ不明確」

 専門家たちはそれぞれ仮想通貨の分野に異なった形で関わっているが、小委員会の公聴会において、現在の米国の規制は業界の発展のためには不十分であり、多くの企業は遵守したいと考えているが「明確にする必要がある」との意見で一致していた。

 レンプレス氏が最初に発言し「議会が規制当局や規制制度を新たに作る必要はない。規制当局はすでに、この分野を効果的に監督する十分な権限を持っている」と述べた。しかしレンプレス氏は、規制当局は様々な種類のトークンを区分する必要があるとし、「規制当局は市場参加者を調整し、彼らに明確な指針を示す必要がある」と付け加えた。

 レンプレス氏は、ニューヨーク州におけるコインベースの「ビットライセンス」(仮想通貨取り扱い免許)をはじめ、同社はコンプライアンスを確実にするよう努力していると述べた。だが規制の仕組みが組織化されていないことで、州政府と連邦政府との間に規制の重複があると指摘した。

 専門家たちは、ICOへの規制が特に必要なことに大筋で合意した。ブラマー教授は、ICOでの開示制度の欠如を指摘し、ホワイトペーパーへの規制もまったくなく、ICOの実行者たちは規制に縛られず、投資家に必要な情報を提供していないと述べた。

 ローゼンブラム氏は、ICO市場で資金調達する人々を見たと述べた。「どの証券分野の弁護士も正直に言ったと思う、(ICOを)すべきではないと…。まともな弁護士なら誰も売ろうとしないだろうし、クライアントにホワイトペーパーを売却するよう助言しない。我々は常に目論見書や開示書類を扱っている」

 一方でレンプレス氏は、起業家が従来のベンチャーキャピタルシステム以外の「公平な場で」資金調達できるようにする、ICOの可能性と必然性を指摘した

 「起業家は、活気のある資金源にアクセスするために、シリコンバレーやニューヨークの資金提供者に頼る必要はない。同時に、投資家の保護を確実にする責任ある規制が必要だ。我々はその規制を歓迎する」

仮想通貨に困惑する議会

 議員の姿勢は、新技術について慎重ながらも楽観的なものから、業界全体に対し敵対的なものまであった。フィンテック部会の共同議長でもあるジョージア州のデイビット・スコット議員は、投資家の安全性に関して、より合理化された規制システムの構築ついて熱心に質問した。

 「(SECとCFTCは)仮想通貨やその他のデジタル資産の規制に関する規則を提案せず、代わりに非公式な規則や行政処分に頼っていた。そこで特にローゼンブラム氏に尋ねたい。新しくてエキサイティングなデジタル資産を規制するため、連邦当局は上手くやれるだろうか」

 ローゼンブラム氏はまず初めに、行政処分だけによる規制方法は取るべきではないとし、スコット議員の質問に答えた。

 「私はあなたの方向性に同意する。処分による規制は、これほどダイナミックな分野では適切な規制方法ではない。我々は明確なガイドラインを必要としており、SECの登録規則がどのように適用され、適用されるべきか、明確に理解する必要がある。それは処分だけによる規制を通じて行えるものではない」

 カリフォルニア州のシャーマン議員は、業界全体に対して全く融和的ではなく、仮想通貨の概念そのものを非難した。彼は開口一番こう述べた。

 「仮想通貨はホラ話だ。テロリストや犯罪者が世界中で資金を動かすのを助けている。スタートアップ企業が不正行為をし、金を奪い、実際に役に立つビジネスを創り出す時間の1%を費やす助けとなっている。とはいえ、敢えて言うと、あらゆる窃盗と犯罪のうちごく一部は、有用であると判明した何かの資金調達に役立つ」と述べた。

 シャーマン議員の専門家たちへの質問セッション中、ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は、非銀行利用者層の個人にとって仮想通貨がいかに役立つかを説明しようとした。

 ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は「仮想通貨はアクセスしやすく、スマートフォンとインターネット接続環境を持っている人という基本的な前提条件の元でのみアクセスできる金融ツールだ。世界には、企業からの貴重で安全な金融サービスにアクセスするよりはむしろ、スマートフォンやインターネット接続を取る地域があると思う」と述べた。

 シャーマン議員は「おそらく、仮想通貨で資金調達した主要なテロ事件がいくつか起きた後で、別の公聴会を開催するだろう」と述べ、仮想通貨固有の悪意を確信したままセッションを締めくくった。

 議会のブロックチェーン部会のメンバーであるミネソタ州のエマー議員は、同僚とは全く別のアプローチを取り、業界への規制を最小限にするよう求めた。エマー議員は、規制がブロックチェーンの分野におけるイノベーションを妨げ、政府に大きな権力を与えることを懸念していると主張、ほとんど全ての規制が業界の発展に「水を差すもの」になると述べた。

 エマー議員は出席者に対し「すでに権力を持っている警察官に、この分野に侵入し、おそらく開発を挫折させるような、さらなる権力を与え」ないように、と述べた。

どんな名前で呼ばれようとも...

 仮想通貨分野において明確な規制ガイドラインが無いことは、正当な企業が規制違反を恐れて非常に慎重になる環境を生み出すだけではない。問題の一部は、レンプレス氏が指摘したように、実際のところ仮想通貨が何であるか米国の規制当局間で統一されていないというところにある。ある仮想通貨について、SECは証券と見なすかもしれないが、一方でCFTCは商品と見なし、IRSは財産とと見なし、FinCENは金銭だと考える。

 レンプレス氏によると、理想的には「SECとCFTCは、トークンを商品として扱うべきか、証券として扱うべきかを決める線引きができなければならない」という。

 専門家たちの間でさえ、仮想通貨が証券から商品に変わる時について、いくつかの意見の相違があった。ヴァン・ヴァルケンバーグ氏、ローゼンブラム氏、ブラマー氏は皆、資産が証券であるかどうかを判断するため最高裁判所が作成したハウィーテスト(Howey Test)が、ICO中に売却されたものなど、仮想通貨トークンを評価する適切な方法であることに同意した。しかしローゼンブラム氏は、トークンがICO中に売却された後、もしくはすでに存在し、特定のプラットフォームで通貨のように使われているもののついては、トークンの性質がどのようなものであるかは不明確であると述べた。

 しかし誰もが同意しているのは、現在、政府が明確な規制を提供できていないことで、他の国々に機会を奪われる恐れがあるということだ。この点について、ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は次のように述べた。

 「政策立案者がコモディティと証券の間の線引きを間違えた場合、そして規制当局によって明確にされない場合、これらのイノベーションの可能性が破壊され、この技術のリーダーシップが他国に譲り渡されることになる」

 ブラマー博士はコインテレグラフに対し、公聴会全体の有効性を踏まえ「誰もが関与し、複雑な問題を真剣に考えようとしている感じは確かにあった。これが政策立案のための重要な前提条件だ」と語った。

 当記事発行時、コインテレグラフのコメント要請に対し、ローゼンブラム氏とエリソン議員からの回答はなかった。

  • フォローはこちら: