米商品先物取引委員会(CFTC)のフィンテック・イノベーションハブ LabCFTCが11月27日、スマートコントラクト入門書を公開した

この入門書はLabCFTCにとって2冊目のフィンテック教育書となる。1冊目は17年10月に公開された仮想通貨に関する入門書だった。ラボのダニエル・ゴルフィン所長が概要を説明する通り、この新たな入門書はブロックチェーンに対応するスマートコントラクト技術に関するものである。同所長はこの技術について、「市場の自動化をさらに推進するために使われ、幅広い経済活動に影響を与える可能性がある」と指摘する。

LabCFTCの入門書はまず、スマートコントラクトを「一連のコード化されたコンピューター機能」と定義し、「自己実行型コンピューターコードが、特定の時間や、ある動作や出来事の発生または不発生を参照して作動する」ことを可能にするとしている。

次に、自動販売機用の基礎的なループコードから、自己実行型保険やクレジット・デフォルト・スワップの精算などのより複雑な事例まで、幅広い応用の可能性について検討を始める。

市場の効率性強化、安全な身元確認、取引執行の自動化、規制上の報告業務の迅速化など、スマートコントラクトを利用することの広範囲に及ぶ潜在的メリットを認める一方で、この入門書はいくつかのリスクと、規制機関が取り組むべき課題についてもページを割いている

それらのリスクや課題には、「運営上、技術上、およびサイバーセキュリティー上の」リスク、および詐欺や市場操作などの行為がもたらされることも含まれると見なされている。CFTCは、規則の違法な回避に使われる可能性を軽減する方策を講じる必要性、および違法行為や機能的な不具合が生じた場合に、説明責任を適切に果たして紛争の解決に取り組むための、法的責任の仕組みと優れた統治基準の必要性についても論じている。

また入門書は、CFTCに付託される監督権限についても概要を説明しCFTCの規制対象機関がスマートコントラクトを利用する可能性のある分野、特に金融分野を強調している。この資料が示唆するところによれば、スマートコントラクトに関する多くの議論が、「すぐにデジタル化およびコード化される可能性のある」ものの「例としてデリバティブを取り上げている」という。スマートコントラクトは先渡取引、先物取引、オプション取引、スワップ取引など幅広い既存契約の履行を自動化する可能性があると、この入門書は指摘する。