米国でCLOUD法成立、政府は企業が保有する個人情報を容易にアクセス可能に

 1兆3000億ドルの連邦歳出法案に土壇場で追加された、異論の多いCLOUD(Clarifying Lawful Overseas Use of Data)法が、ドナルド・トランプ大統領の署名により法律として成立した。米政府は法的措置を理由に、米国民のデータを入手しやすくなった。同様に、外国政府も、米企業の持つ自国民に関するデータにアクセスできるようになる。ギークワイヤーが23日に伝えた

 この法案には、電子フロンティア財団(EFF)などのプライバシー擁護団体が、反対を表明してきた。同財団は法案の成立後、「最後の最後で追加されたこの一片の法律が、世界中のプライバシー保護を蝕むことになるだろう」と書面で声明を発表した。

 CLOUD法は、2232ページに及ぶ包括歳出法案が木曜に採決されるのに先立ち、水曜に同法案に追加された。法案は下院256対167、上院65対23で可決された。

 共和党のランド・ポール上院議員は採決日の22日、自身のツイッターで、「連邦議会はCLOUD法を否決すべきだ。この法律は、人権や米国民のプライバシーを侵害するものだからだ...憲法の役割を打ち捨て、司法長官、国務長官、大統領、外国政府に強すぎる権限を与えることになる」とつぶやいた。しかし、次の通り警告も付け加えている。

 この法案は成立前、米国内の複数の団体から、直近の追加は適正な手続きが不足しており、法案の内容そのものが合衆国憲法修正第4条の抜け穴になるとして、反対を受けていた。

 アメリカ自由人権協会(ACLU)は12日、「CLOUD法に関する合同文書」を発表し、法案は連邦議会や既存の情報開示請求手続きを迂回して、権限を行政機関の下に置くため、「プライバシーやその他の人権、及び重要な民主的保護を弱体化させる」との見解を示した。

 同法の内容は、米国と外国政府(EFFによると、人権侵害をしている政府も例外ではない)との取引を可能にするものであり、外国政府が米国企業に直接接触してデータを要求できるようになるかもしれない。そうなれば、「司法による審査という手続きが排除される」と、ギークワイヤーは危惧している。

 一方で、同法案に賛成する立場のアップル、フェイスブック、グーグル、マイクロソフト、Oath各社は先月6日、CLOUD法を支持する合同文書を発表し、同法がもたらすであろう顧客保護の必要性について、次のように述べている:

「我々各社は顧客と世界中のインターネットユーザーを保護するための、国際的な合意と世界的なソリューションを長年主張してきた。訴訟ではなく、対話と法律が最良のアプローチだと、ずっと強調してきた。CLOUD法が制定されれば、顧客の権利保護に向けた大きな前進であり、法への抵触が減るだろう」

 

  マイクロソフトは21日、同法案を支持する文書を再度発表。同文書は、CLOUD法について次のように述べている。

法執行機関が国境を超えてデータにアクセスできる方法を規定する、最新の法的枠組みを作るものだ。それは強力な法律であり、連邦議会両院における最近の超党派の支持、及び司法省、ホワイトハウス、米国州司法長官会議、広い分野に跨るテック企業の支持を反映する、良い妥協案である[...]アイクロソフトのようなテック企業に、世界中の顧客のプライバシー権を守る能力をもたらす。また同法案は、政府が新たな法律を利用して、重要な追加的プライバシー保護手段である暗号化に抜け穴を作るよう、米国企業に要求することを防止するものだ」。

 

 ビットコイン(BTC)支持者のアンドレアス・アントノプロス氏は、CLOUD法の成立を受け、国民は今や「闇の中に消え」なくてはならないとツイッターでつぶやいた。

 個人情報のプライバシーは、ビットコインなど仮想通貨のアイデアの基礎をなす、重要なポイントだった。しかし今週、米国家安全保障局の内部告発者エドワード・スノーデン氏は、ビットコインの公開台帳には「圧倒的な公開性」があると、その考えを述べている。